品質管理の担当社員が発注者側に虚偽の申告をしていた。建築基準法を満たさない恐れがあるため解体して建て直す。同社は同日、担当役員2人が31日付で引責辞任することも発表した。
問題が発覚したのはNTT都市開発が発注した、地上26階建て地下2階の大型複合ビル。ホテルやオフィスが入居する予定だ。2021年10月に着工した。完成時期は24年2月の予定だったが、地上部分を解体して建て直すため、26年6月末に延期する。
NTT都市開発から鉄骨に使うボルトが規定より小さいとの指摘を受けて調査したところ、地上部分の柱や梁(はり)を構成する鉄骨で、規定より傾きが大きな箇所が722カ所中70カ所見つかった。床や天井に用いるスラブコンクリートでも厚さが規定に達していない箇所が570カ所中245カ所見つかった。
大成建設はNTT都市開発からの報告で1月初めに問題を認識し、下旬までかけて調査を実施した。品質管理を担当する社員は問題のあった箇所を修正すると、工期が延びることを恐れて、品質に問題ないと判断し、虚偽の数値を発注者に申告していた。
建設業界では資材価格が高騰している。大成建設はコンクリートの使用量が少なかったことについて、コスト削減の意図はなく「単純なミス」と説明している。
責任を取り、建築総本部長兼建築本部長の寺本剛啓取締役専務執行役員、札幌支店長の平島信一常務執行役員の2人が辞任する。建て直しに伴い工事費用が増加するが、業績への影響は現在精査中とした。
NTT都市開発は「前代未聞の事態で、大成建設との長年の信頼関係を失いかねないと重く受け止めている」とした。大成建設は「決してあってはならないことで、事態の重大さを痛感するとともに、二度と同様の事態を起こさぬよう信用・信頼の回復に全力を尽くす」とした。
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