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FRB、年内の大幅利下げ観測強まる 金融不安の高まりで

地銀の融資姿勢が厳しくなって経済成長が鈍化し、高インフレを押し下げるとの見方もある。金融先物市場は15日、年内に4回分の利下げを織り込む極端な動きになった。

21〜22日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを見送る予想が13日午後時点で一時6割に上った。米銀シリコンバレーバンク(SVB)などの破綻に加え、15日にはスイスの金融大手クレディ・スイス・グループの経営不安も重なって連日激しい動きとなっている。

特徴的なのは年末時点の政策金利予想だ。1カ月前は予想の中央値が5.0〜5.25%だったが、15日時点では3.75〜4.0%と足元の金利より0.75%低い。5月に1回だけ0.25%の追加利上げをした後、計1%分の利下げを進めるシナリオになっている。

米国野村証券のようにFRBが22年6月から続けている量的引き締め(QT)を停止したり、減額したりするとの見方もある。

こうした予想の背景には、足元の金融不安が将来的に経済成長率を押し下げるという見立てもある。米ゴールドマン・サックスは23年10〜12月期の実質経済成長率の予想を0.3ポイント引き下げて1.2%(前年同期比)とした。地銀が今後融資に及び腰になって企業の投資や個人の住宅購入意欲に影響するという。

次回のFOMCでは参加者らによる経済見通しも公表される。パウエル議長はこれまで年内の利下げ転換を否定してきたため、23年末時点の政策金利予想は利上げの「到達点」を示すとみられていた。今回の見通しでは前回22年12月時点で5.1%(中央値)としていた23年末見通しの修正に加え、年内利下げの可能性についてパウエル氏がどう説明するかも注目される。