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低所得世帯に3万円、子ども1人5万円も 政府・与党検討

政府・与党は物価高対策として低所得世帯への追加の現金給付を検討する。まず3万円、さらに子ども1人あたり5万円を軸に調整する。大規模工場の電気代抑制やLPガスの負担軽減も図る。ウクライナ危機で高騰したガソリン代の補助などで家計や企業の支援には既に13兆円を投じている。際限ないばらまきにならないよう政策効果の検証が欠かせない。

自民、公明両党が15日、それぞれ岸田文雄首相に物価高対策を提言した。自民党の萩生田光一政調会長は首相との面会後、記者団に「低所得世帯に一律3万円、さらに児童1人あたり5万円を想定している」と語った。首相はこの方向で検討する意向を与党に伝えた。公明党の石井啓一幹事長が明らかにした。

政府は3月中に対策をまとめる。財源は2022年度予算の予備費を使う見通し。新型コロナウイルス・物価高対策分の約5兆円と、第2次補正予算で設けたウクライナ予備費1兆円が手つかずで残る。公明党の山口那津男代表は対策規模について「兆円単位」と言及している。

政府はロシアのウクライナ侵攻以降、物価高対策に一般会計から約13兆円を投じてきた。ガソリン価格抑制の補助金累計6兆円、電気・都市ガス料金の負担軽減策3兆円などだ。

電気代の支援は現在、大規模工場向けの特別高圧契約は対象にしていない。大規模工場まで含めると業績が堅調な大企業まで補助を受けることになる。線引きの妥当性が問われる。

LPガスは地方での利用が多い。零細事業者が多く事務負担がかさむため、都市ガスのような直接の価格抑制策はとらず、配送車両の導入補助など効率化の支援を進めている。追加策を打つ場合、地方創生臨時交付金を使った自治体ごとの対応になる可能性がある。

石油情報センターによると、2月末時点の家庭向けLPガスの小売価格(全国平均、速報値)は10立方メートルあたり8895円と前月から6円下がった。前年同月比でも5.4%の上昇にとどまる。地域の実情に応じたきめ細かな対応が必要となる。