· 

中古マンション、都心の上昇一服 金融緩和修正観測で

東京カンテイ(東京・品川)がまとめた1月の東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の中古マンション平均希望売り出し価格(70平方メートル換算)は、前月比で18万円(0.2%)安い9965万円だった。2022年11月に1億円の大台に乗せてから、2カ月連続で下がった。日銀による金融緩和の修正が意識され、これまでの急ピッチな価格上昇に一服感が出ている。

供給量を示す流通戸数は3895戸と前年同月から22%増加した。直近3カ月間に値下げした住戸の割合を指す価格改定シェアは、1年前から8.6ポイント高い40.1%に上昇した。

東京23区でみると流通戸数は29%増えた。価格改定シェアは45.7%と、約10年ぶりの水準になった。

中古マンション価格は「アベノミクス」以降上昇基調が続き、都心6区では10年で9割高となっている。その期間と重なるようにマンション価格を支えていた日銀の金融緩和政策を巡っては、今春の総裁交代を期に、何らかの政策修正が行われるとの観測が意識されている。

超低金利政策からの転換で金利が上昇すれば、マンション購入資金の借り入れコストも増えることになり、マンション需要が減退する可能性もある。東京カンテイの高橋雅之主任研究員は「投資目的などで複数物件を持つ人が、さらなる価格上昇は限られるとみて売りに出している」と分析する。

首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)全体では前月比26万円(0.5%)高い4845万円だった。埼玉県が40万円(1.3%)高の3062万円など都外3県の伸びが押し上げた。近畿圏は横ばいの2909万円、中部圏は4万円(0.2%)高い2304万円だった。