25日閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は4月に日銀総裁を退任する黒田東彦総裁にとって、最後の主要な国際会議となった。並行して開いた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では議長国としてウクライナへの支援策をまとめた。G20会議の最後に黒田氏の退任に伴う特別セッションが開かれ、各国の参加者が貢献をたたえた。
「今回が最後のG20への参加になった。大変有意義な議論が行われ、学ぶことが非常に多かった」。黒田氏は25日、G20会議閉幕後の記者会見で振り返った。これまで経済・金融の様々な問題に直面してきたが、各国との議論を通じて何とか対応策を見いだせてきたというのが黒田氏の思いだ。
国際会議でのこれまでの貢献に敬意を表する――。2日前のG7会議閉幕後も、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長や国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事らが集まった会場は黒田氏への賛辞で包まれた。
黒田氏の任期は4月8日に満了する。政府は後任に植田和男元日銀審議委員を充てる人事を提示した。
財務官やアジア開発銀行(ADB)総裁、日銀総裁と立場を変えながらも20年超にわたり国際金融の最前線に立ち続けた。会議で黒田氏を支えた日銀関係者の一人は「世界のご意見番として、会議の度に各国のリーダーから助言を求められていた」と振り返る。鈴木俊一財務相も25日、G20の特別セッションで「(各国の参加者)全員が立ち上がって拍手して黒田さんの長年の貢献をたたえた」と明かした。
これまでの会議でも、イエレン米財務長官やイングランド銀行のベイリー総裁など世界のリーダーと英語で談笑する姿がみられた。岸田文雄首相は日銀総裁の資質に「中銀トップとの緊密な連携、内外の市場関係者への質の高い発信力と受信力」を挙げた。国際金融のかじ取りを担う重責は4月以降、新総裁に引き継がれる。
コメントをお書きください