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塩野義、20代でも課長に 年功序列脱却へ新制度

塩野義製薬は20代でも課長級に抜てきできる人事制度を10月にも導入する。1年単位で昇格と降格ができるようにし、最短で入社5年目には課長級の役職に就任する。研究業績のある医師など専門性の高い人材については、社長の年収を超える給与を払う仕組みも整える。優秀な人材獲得に向け、中堅企業でも年功序列から脱却する動きが出てきた。

2013年以来、10年ぶりとなる人事制度改革で年功序列の要素をなくす。会社側が組合に打診しており、協議を進めている。

成果を出した社員は勤続年数にかかわらず役職を上げたり、給与を引き上げたりする。従来は3年平均評価で昇格や降格を人事部が主体となって決めていた。新制度では課長級までは営業や研究など各部門が単年評価で判断する。大きな成果を上げるなど基準を満たした社員は毎年昇格する。課長になるには従来、10年以上かかっていた。

育児休業後に復帰しても1年で成果を出せば昇格する。子育てや介護で出世を諦める人にも報いることができるとみている。給与についても、同じ等級の課長職であれば「勤続年数にかかわらず、賃金はほぼ同等となる」(人事担当者)。

世界的な研究を手掛ける医師やIT(情報技術)人材の確保に向けて、給与を個別に決める制度もつくる。「必要な人材であれば、社長の報酬を超える可能性はある」(人事担当者)。有価証券報告書によると手代木功会長兼社長の21年度の報酬は2億4500万円だった。

塩野義は週休3日制度や副業解禁など働き方改革を進めてきた。転職志向の高まりなど働き手の意識が変わる中、透明性の高い評価制度や市場競争力がある報酬制度を導入することで優秀な人材の定着や中途人材の獲得につなげる。