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旭化成系、マンションでシェア自転車 地域住民も利用可

物件オーナーの収益向上に貢献するほか、自動車が通りにくい細道の多い住宅街で拠点数を増やし、街全体の生活利便性を高める。

 

自転車シェア「ハローサイクリング」を手掛けるソフトバンク系のオープンストリート(東京・港)と連携した。2022年10月に杉並区内にある賃貸マンション「へーベルメゾン」の3物件に3〜4台のシェアサイクルを置くスペースを設けた。

料金は最初の30分130円で以降は15分ごとに100円が加算される。スマートフォンのアプリで予約や決済ができ、街中の貸出場所であればどこでも返却が可能だ。

旭化成不動産レジは首都圏を中心に11万戸以上の賃貸物件を管理する。近年は自動車を所有する入居者が減り、空き駐車場の利活用が課題となっていた。特に物件全体の約1割が集まる杉並区や世田谷区は公園やスーパーなど生活環境が充実している一方、南北の移動がしにくいうえに、鉄道駅や主要道路から距離のある住宅も多いことから相乗効果を期待できると判断した。

今後は大規模分譲マンションの敷地内などにも導入する予定(完成イメージ)

同社の営業推進部の山口俊氏は「通勤通学や買い物、運動など幅広い用途で使われており、導入後の反響はまずまずだ」と手応えを語る。利用者が支払う料金の一部をオーナーが受け取る仕組み。収益面の向上に加えて物件自体の価値を高めて入居動機につなげることもできる。年内に導入実績を30物件まで伸ばしたい考えだ。

新型コロナウイルス禍を経て、人混みなどの密回避や運動不足の解消を目的に自転車を利用する人は増えている。ハローサイクリングは現在、約6000カ所にステーションを置いており、会員数は190万人程度にのぼる。オープンストリートのプラットフォーム統括アライアンス本部、吉良貴宏部長は「手軽に利用できるシェアサイクルの需要は底堅い」と語る。

ただ、現状は商業施設や区役所など「利用者の目的地となる場所にステーションが集まっており、スタート地点となる住宅地での普及を進めていく必要がある」(吉良氏)。自動車などに比べて環境負荷が少ない移動手段として自転車に関心が集まる中、今後はハウスメーカーやデベロッパーなど不動産会社との協業も深めていく。

(山口和輝)