· 

高野山宿坊協会と官民ファンド、観光支援で新会社

高野山宿坊協会(和歌山県高野町)と官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)、まちづくり会社のDMC高野山(高野町)は世界遺産の高野山の観光を支援する新会社を立ち上げた。弘法大師生誕1250年となる2023年、高野山では5月中旬から約2カ月間、記念大法会が行われる。回復しつつある訪日外国人(インバウンド)誘致も見据え集客を強化、滞在時間を延ばす。

宿坊協会傘下に株式会社「宿坊協会不動産・IT開発管理」を新設し、社長に同協会の山階清隆理事長が、取締役COO(最高執行責任者)にはDMC高野山の大田原博亮代表取締役が就任した。大法会をにらみ、まず高野山中心部にある中央案内所や奥之院近くの新中の橋会館など、同協会が保有する集客拠点を大規模リニューアルする。

中央案内所は「癒やしと自然の体感拠点」をコンセプトに自然派(ナチュラル)セレクトショップを充実させる。新中の橋会館では土産物屋を充実させ、スイーツコートも設ける。22年8月にDMC高野山が開館した「高野山デジタルミュージアム」と合わせ観光の三大ハブ拠点とする。

真言宗における呼吸法・瞑想(めいそう)法で人気の高い阿字観などの「高野山体験」は、各宿坊などの個別販売だけでなく、IT(情報技術)を活用して一元的に取り扱うこともめざす。中央案内所内の茶房などにタブレット端末を置き、気軽に体験商品を検索・予約してもらうイメージだ。

雪の残る冬の高野山金剛峯寺(和歌山県高野町)

有力な体験商品が集まりつつあり、記念大法会が始まる5月14日までには「15、16の体験商品をそろえたい」(大田原COO)としている。このほか、現在貸し出している音声ガイド端末に替わり、観光スポットと連動した体験商品案内などもできる多言語対応の次世代ガイド端末も開発する考えだ。

高野山を訪れるインバウンドなどの観光客は急増している。不動院の住職でもある山階理事長によれば、不動院の宿坊は「4、5月は既に予約でほぼ満室」という。