3月の野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表は18日、宮崎市の宮崎県総合運動公園で強化合宿2日目の練習を行い、米大リーグからただ一人参加しているダルビッシュ(パドレス)、今永(DeNA)、戸郷(巨人)らが投球練習を行った。
ダルビッシュは栗山監督や他の投手陣が見守る前で、変化球を交えて35球を投げた。チームは室内練習場では、非公開で守備のサインプレーを確認した。全体練習後の特別打撃練習では牧(DeNA)や山田(ヤクルト)らが熱心にバットを振り込み、快音を響かせた。
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ダルビッシュが足を運ぶところに歓声が沸く。豪華なメンバーがそろう代表の中でも、その存在感は圧倒的だ。かつてのイチローさんがそうだったように、自然と代表最年長の右腕を中心にチームが成り立っている。
この日はブルペンに入って35球。精度の高い多彩な変化球を投げてはこまめにトラックマン(弾道測定器)で回転軸や「思い描いた通りの変化を出せているか」を確認し、自身の感覚とすり合わせた。まだ時差ボケが残っているとはいえ、「完成度としては結構高い」。規定では本番直前まで対外試合の出場が難しいが、「特に心配はしていない」と頼もしい。

ダルビッシュの投球練習を見つめる投手陣。スマートフォンを構える佐々木朗の姿も
捕手の後方では山本(オリックス)や佐々木朗(ロッテ)らがこぞって見学していた。「ツーシームが見たことないくらい曲がっていた」と大勢(巨人)。プロでも見たくなる最上の手本とバッテリーを組んだ甲斐(ソフトバンク)も「どの球も素晴らしかった。受けていて楽しかった」と目を輝かせる。
2009年大会の優勝を知り、パドレスから特別に合宿参加を許可してもらったダルビッシュが発する言葉は若手の学びになる。本人も「とにかく自分を知ってもらうことが大事」と積極的に語りかけ、助言を求めて歩み寄ってくる選手には経験や知識を伝えることを惜しまない。その姿に、栗山監督も「学べるものがあるんだと、一流の選手が思える環境はすごくいいこと」と感謝する。
「キャリアは正直関係ない。プロなので、ずっと成長するという姿勢は崩してはいけない。年功序列とか全く考えてない」とダルビッシュはいう。柔軟な思考で若い選手の考え方も吸収して自らの栄養にする。その意欲が一流の証しなのだろう。
(渡辺岳史)
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