米国で賃貸物件の家賃が高止まりしている。民間調査によると、米ニューヨーク市では平均家賃が収入(中央値)に占める比率が68.5%と過去最高になった。収入の伸びが家賃の伸びに追いつかず、支払いの負担感が高まっている。
米ムーディーズ・アナリティクスが全国的に調査したリポートによると、2022年10〜12月期は世帯収入で中央値の人が平均家賃の物件に住む場合、収入に占める家賃の比率は30%だった。前年同期比では1.5%上昇し、20年以上の調査で最高になった。同比率が最も高かったニューヨーク市は68.5%、次いでフロリダ州マイアミが41.6%と全体の伸びをけん引した。
米国の賃貸物件の需要は21〜22年初にかけて盛り上がった。新型コロナウイルス禍の行動制限で在宅勤務が増えるなか分譲住宅の価格が高騰。賃貸物件のニーズも高まった。米レントドットコムによると、全米の家賃の中央値は22年12月時点で前年同月比4.8%上昇した。一時に比べ過熱ぶりは一服しているものの、依然として高水準で推移する。
米住宅都市開発省では収入の30%以上を家賃に充てている場合、家賃が家計の重荷になると定義している。ムーディーズ・アナリティクスはコロナ禍での平均家賃の記録的な上昇について、世帯収入の中央値の伸びが弱かったことで支払いの負担が高まったと分析する。家計への負担を減らすため、家賃のより低い物件を契約したり、ルームシェアをしたりする人も増えている。
米不動産会社ダグラス・エリマンなどの調査によると、家賃負担の割合が最も高かったニューヨーク市の中心部マンハッタンの家賃の中央値は今年1月時点で4097ドル(約54万円)と、過去3番目の高水準を記録した。不動産評価大手ミラー・サミュエルのジョナサン・ミラー最高経営責任者(CEO)は「ニューヨークにおける労働市場の堅調さと、高金利で住宅購入希望者が賃貸市場に流れてきたことが家賃の高止まりにつながっている」と指摘した。
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