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「リーガロイヤル、海外富裕層に的」ロイヤルホテル社長

運営は自ら続け、新たに外資系ホテルグループと提携する。新型コロナウイルス禍で厳しい経営環境が続いていたほか、大阪では高級ホテルが相次ぎ開業している。今後の運営方針についてロイヤルホテルの蔭山秀一社長に聞いた。

――なぜ土地と建物をカナダ系のベントール・グリーンオーク・グループ(BGO)に売却したのでしょうか。

「RRHは建物の劣化が進んでいたが、コロナ禍で財政がいたんで大きな設備投資ができなかった。一方、外資系高級ホテルの進出が相次ぎ、競争が激化する。25年に国際博覧会(大阪・関西万博)を迎えても、外国人の富裕層は新しくて知名度もある外資系ホテルに行ってしまう懸念があり、資産を売却して改装資金を得ることを考えた」

「土地や建物を手放して運営特化型になった後、ロイヤルホテルはどうやって収益を得るのかという課題もあった。BGOは、RRHらしさを残しつつブランド価値を高める改修を実施し、当社に運営委託する提案をしてくれた。また、BGOが今後、投資するホテルを優先的に運営受託できる契約を結んだので、ロイヤルホテルの成長にもつながると判断した」

――新たにインターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)と提携します。

「IHGとの提携を提案したのもBGOだった。IHGの『ヴィニェット・コレクション』というラグジュアリーブランドの一つとなることで、IHGが持つ1億人超の会員を送客してもらえ、客室単価を上げることができる。IHGの予約システムに組み込まれ、料金設定も彼らが行う」

――どのような改修を行うのでしょうか。

「IHGのラグジュアリーブランドに見合った客室にする。劣化が目立つ客室や廊下を中心にスタイリッシュに改装する。ブランド価値を向上させるにはIHGのノウハウが役に立つ」

「一方、滝のあるエントランスや大きな宴会場などはできるだけ残す。RRHは収益に占める宴会やレストラン事業の割合が高い。大阪の人が利用して『RRHらしい』と感じる部分はできるだけ残したい」

「大阪にはラグジュアリーホテルが少ないことが指摘されているが、今回の改装で一気に1千室規模のホテルができることになる。大阪随一のホテルでありつづけながらも、関西の企業らしいアットホームなおもてなしを続けたい」

――将来の建て替えについても契約に盛り込みました。どのようなホテルになるのでしょうか。

「建て替え後もRRHのイメージを崩さないフルサービスのグランドホテルにする。具体的に言えば、大きな宴会場や直営レストラン、車寄せなどが必要だ。近年では大きなビルの高層フロアに客室をつくり、宿泊特化型のホテルとして運営するケースが多いが、それでは大阪の人に受け入れてもらえないだろう」

――ロイヤルホテルは運営特化型になります。

「西日本をはじめロイヤルホテルのブランド力が通用する場所で運営する。年に1〜2カ所ほどオープンしていければよいのかなと思う。委託を受けるためには結局、RRHのブランド力が重要になる。その意味でも今回の改装に価値がある」

(川野耀佑)