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コラビット、中古住宅査定 成約データから挑戦価格

提携する不動産会社の過去の査定実績や成約データを集約して分析し、高確率で売れる安全価格と合わせて表示する。値決め時の判断材料を増やし、物件売却の成功率を高める。

不動産仲介業者の過去の査定データを分析し、売却できる予想確率を割り出せるようにした。物件のオーナーは従来のAI査定価格に加え、近隣相場より高いが約1割の確率で売れると推定されるチャレンジ価格と、成功率が約9割の安全価格が分かる。

例えば離婚や相続、引っ越しなどで早く現金化したい場合は安全価格に設定したり、時間がかかっても強気の値段で売り切りたい場合はチャレンジ価格に近づけたりと、売り手のニーズに応じて売却プランを組み立てやすくなる。2022年11月から提供を始め、不動産会社への査定依頼数は導入前に比べて約2倍に増えているという。

ハウマに査定依頼が届く物件の価格相場は平均2000万〜4000万円。ただ、立地や敷地面積、築年数などによっては1000万円から1億円まで開きが生じるケースもある。従来は不動産会社が提示する価格を参考にするしかなかったが「ヒトの経験とAIのデータ分析を掛け合わせ、売り主が主体的に価格決定できるようにした」(コラビットの浅海剛代表)。

過去の査定実績や成約データを集約して分析し表示する

土地の形状や間取り、築年数などもそれぞれ異なる戸建て住宅はマンションと比べて適正な売却価格を算出しにくいという課題があった。同社はハウマのサイト上でオーナーを約150社の不動産会社に仲介する。売却に向けた戦略決めや質問などをチャットで気軽にやり取りできるほか、売却の手続きをオンラインで完結させることも可能だ。

23年中には査定結果に応じて「いつまでに売れるか」の販売期間を予測するサービスを提供する計画だ。旧耐震構造や事故物件など、売りにくい理由のある物件でも対応可能な不動産会社を探せる機能の追加も予定している。今後1年でハウマを通じた中古住宅の推定流通額を現在の2倍の100億円まで拡大する目標を掲げる。

調査会社の矢野経済研究所によると、中古住宅の買い取り再販の成約件数は25年に5万件と20年比で約4割増える見込み。人口減少に伴い新築住宅の供給戸数は縮小が予想される中、中古戸建てに対する消費者の関心は足元でも高まりつつある。査定機能の利便性を高めてサイト利用者数を伸ばすことで収益拡大につなげたい考えだ。

(山口和輝)