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IPOの"狂乱"教訓に米国株投資 七転び八起き

■1998年〜

社会人2年目の頃に親が実家を売却し、そのお金で投資信託の購入を始めたのが投資に興味を持ったきっかけ。初めて持った株はIT関連企業に勤務していた頃に買った自社株だ。上場で含み益が最大1億円まで膨らみ社員は熱狂。会社は異様な雰囲気だった。最終的に売却益は1000万〜2000万円にとどまったが、その一部で米国株投資を始めた。IT関連企業では、日中に自社株の値動きが気になって仕事に集中できなくなった同僚を見ていたため、当時はまだ珍しかった米国株を選んだ。テック系の銘柄を中心にサン・マイクロシステムズやIBM、インテルを買ったが、ITバブル崩壊で半値になってしまった。

■2003年〜

ソニー(当時)に転職し、中国株投資を始めた。当時は北京五輪や上海万博を控え中国経済が盛り上がっており、旅行や不動産、建築需要を見込んで鉄鋼関係の株を買った。倍額にこそならなかったものの、200万円程度の利益が出た。その後、シリコンバレー本拠のITベンチャーの日本法人に転職。自社株を買うために中国株を全部売り1000万円を投じたが、業績不振で経営破綻した。

■2008年〜

リーマン・ショックが逆にチャンスだと思い米国株に再挑戦。10年にはテスラ株を買った。14年に転職したベンチャー企業が上場し、ストックオプションで利益を得る。今は投信や資産運用を指南する「ロボアドバイザー」にまとまった金額を投じているだけで個別株には投資していない。節税メリットを考え不動産投資を開始し、サブリースでアパートを経営している。収入も支出も固定し、資産を安定させていきたいと考えている。

子供は高校3年生と中学2年生。生活や子供の進学には困らない資産を持っているが、今の仕事が好きなのでFIRE(経済的自立と早期リタイア)は考えていない。ベンチャーに3社勤め2度の上場を経験した。一番の投資先は結局自分だと思っている。