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オフィス賃借予定企業の半数、面積拡張意向 森ビル調査

森ビルは31日、2022年の東京23区のオフィス需要調査を発表した。新規にオフィスを借りる予定がある企業のうち、面積を広げる意向がある企業は21年比9ポイント増の49%だった。耐震性能に優れたビルへの移転や、優秀な人材確保などの理由が増加した。

新規にオフィスを借りる予定のある企業は全体の24%と微減だった。面積を拡大する予定との回答が増えた一方で、縮小するとの回答は5ポイント減った。

竹田真二営業推進部部長は31日開いた説明会で、「新型コロナウイルス禍でオフィス戦略を見直した企業を中心に、新たな働き方や新規事業の創出を目的にオフィスを借りる動きが出ている」と話した。人気エリアは引き続き丸の内や日本橋、虎ノ門などとしている。

調査は03年から原則として毎年実施し、今回が19回目。22年10月1日から31日にかけ、主に東京23区に本社がある資本金上位の約1万社を対象とした。回答企業のうち、製造業は22%、IT(情報技術)が16%、金融が8%などと続いた。そのほかの非製造業が53%だった。

新型コロナの収束後の出社率を聞くと、8割以上と答えた割合は58%だった。21年の調査から大きく増えておらず、在宅勤務を併用しつつ8割程度の出社率が定着する可能性がある。

これまでオフィスを選ぶ際、立地の良さや価格などを条件に挙げる企業が多かった。今回の調査では「活発な議論やアイデア創出」や「チームビルディング」などが上位に入り、オフィスに求める役割が変わってきている。竹田氏は「企業も従業員への投資を重視しているが、コスト面を含め効率的な対応策に腐心している」と指摘する。

最近、賃料改定があった企業のうち、「減額」となった割合は30%と21年から9ポイント上昇した。23年以降にオフィスの新規供給が増えることも一因になっている可能性がある。

競争力のないビルが賃料の引き下げを迫られることが増えそうで、オフィスビルのハードとソフトの両面で魅力ある提案が欠かせない。