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野村不動産HD、一時3%安 金利上昇で住宅販売に懸念

27日の東京株式市場で野村不動産ホールディングス(HD)株が一時、前日比82円(3%)安の2826円まで下げた。長期金利の上昇を背景に、マンションなどの住宅事業が振るわなくなるとの観測が台頭し売りが先行した。

 

終値は前日比27円(1%)安の2881円だった。同業大手の三菱地所や三井不動産の下げは最大で約1%にとどまった。

下げ幅の差につながったのが事業構成の違いだ。野村不動産HDは売上高全体のうち住宅部門が約半分を占める。住宅の比率は、大型のオフィスビルや商業施設に強みがある三菱地所や三井不動産に比べ高い。

低金利を背景に住宅販売を伸ばしてきたものの、野村証券の福島大輔氏は「住宅部門は金利上昇に弱い」と指摘する。住宅ローン金利の上昇が想定され、買い手が細るとの思惑が起こりやすい。

足元の業績は堅調だ。26日、2023年3月期の連結純利益を前期比8%増の600億円と、従来予想から30億円引き上げた。首都圏を中心にマンションの価格が高騰し、売買仲介事業などの利益率が向上する。配当も年115円と計画より5円積み増した。

自社株買いの上限額も65億円から95億円へ引き上げた。「機動的な自社株買いは評価されやすい」(福島氏)。売り一巡後、株価が戻る可能性もある。