· 

岩田屋三越、豪華ラウンジで富裕層つかむ 20~30代も

高級外車など従来の百貨店では扱わなかった商品も買えるとあって得意客を引き付け、一度に1000万円分の商品を買った人も出るほどだ。顧客一人ひとりの嗜好に合わせたモノやサービスを提案し、購買意欲が強い若年層の取り込みを狙う。

岩田屋本店にある富裕層向けの「ラウンジS」は、2021年3月にオープンした。三越伊勢丹グループでの年間購買金額と利用頻度が特に高い客だけが入ることができ、対象は300人程度という。詳しい場所は非公表でフロアマップにも記載していない。

広さ約80平方メートルの部屋は高級置き時計や大型テレビ、フランスの高級クリスタル「バカラ」のシャンデリアといったインテリアで彩られているが、こうした製品もすべてその場で購入できる。試着室も備え、商品を取り寄せてじっくり吟味ができ、テレビを使って海外ブランド店とリモートでの買い物を楽しむことも可能だ。

ラウンジの利用には事前予約が必要で、受け入れるのは1日1組のみだ。毎月10組程度が利用し、これまでに延べ約180組が訪れた。

岩田屋三越によると、客層は20~30代の若年層が1割程度を占める。ラウンジ担当者は「百貨店を利用する富裕層は高齢の方が多いイメージだが、岩田屋本店新館は若者に人気のブランドも多く入っていることから、客層は比較的若い」と話す。

具体的な購入品目は秘密だが、若年富裕層の客が1000万円を超える商品をまとめて購入したこともあったという。投資などで成功した若年層が、豊富な資金力で高額消費を楽しむ構図が浮かび上がる。買い物だけではなく、ラウンジを使って友人とのパーティーを開く客もいる。

購入金額に応じて利用できるラウンジ自体は、これまでも設置してきた。岩田屋本店本館と福岡三越にある「ラウンジB」は購入額が年間100万円以上、岩田屋本店新館4階にある「ラウンジR」は同300万円以上の顧客が対象だ。ラウンジRは月5000~6000人が利用し、趣味や投資目的で時計・宝飾品を購入する客が多いという。

ラウンジSが従来のラウンジと異なるのは、百貨店では通常取り扱っていないモノやサービスにも対応することだ。高級外車といったモノだけでなく、住宅の内装や旅行プランも顧客の要望に沿って専属スタッフが取りまとめて提案する。幅広く対応することで、利用客の購入金額に占める自社サービスの割合を示す「ウォレットシェア」の拡大を狙う。

ラウンジS以外でも、富裕層の取り込みに動いている。新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で過ごす時間が増えたことで、室内を華やかに飾るために現代アートの人気が高まるなど、富裕層の消費動向にも変化が見られるという。

21年に岩田屋本店本館に現代アートを販売する店舗を新設。時期によって取扱商品は異なるが、正体不明の芸術家「バンクシー」や水玉模様が代名詞の世界的な芸術家、草間弥生さんらの作品をそろえ、富裕層の囲い込みを目指す。(関口桜至朗)