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法政大学キャリアデザイン学部 インターンを全員が体験

法政大学キャリアデザイン学部は全ての学生が長期休暇などを利用し、企業・学校などでのインターンシップや海外の学生との交流に取り組む。社会での多様な生き方を体験し、学生がキャリアの方向性を決める狙いだ。

2022年12月上旬、大学構内では、学外の実習で体験したことを説明・発表する学生たちの姿があった。「ボスニアでは日本のアニメが好きで、日本語を学び始めたという人が多いんです」。3年生の本田さくらさんは11月の4週間、ビデオ会議システムZoom(ズーム)を使い、ボスニア・ヘルツェゴビナで日本語を学ぶ学生と交流した。「この学部でしか体験できない」と体験実習を履修したのは前の年に続き2度目だ。

本田さんは現地の人と英語や日本語でコミュニケーションをとる中で、これまでのボスニアのイメージがひっくり返ったと振り返る。インターネットで調べて出てくるのは、紛争など過去の情報ばかりだった。

しかし、現地の人に見せられた写真には高層ビルが立ち並ぶ市街の様子や、伝統のボスニアコーヒーを楽しむ人たちの姿が写っていた。「就職活動が終わったら実際に様々な国に行って、自分の目で見て学んでみたい」という思いを刺激された。

法政大学キャリアデザイン学部は03年にできた。長く続いた終身雇用が崩壊することを見越した。それまでの標準的な人生が揺らぐ中、学生がそれぞれのキャリアを切り開く能力を身に付けることを目的とする。いまや「人生100年時代」を迎え、老後の過ごし方も課題になっている。芸術などを含んだ豊かな教養を身に付ける狙いもある。

学部には1学年約300人の学生が所属する。体験型選択必修科目では2年生が1~15人程度ごとにグループに分かれる。夏休みに実習に出かけるチームが多いという。

行き先はのべ60ほどあり、定時制高校などの学校や、地元企業、NPO法人やベトナムをはじめとする海外の大学と多岐にわたる。大半は学部が提携している団体・企業が協力するが、中には教員の指導のもと自分で実習先を探してくる学生がいる。都内の中小企業の社員と一緒に製品のPRをするといった内容もあり、ユニークだ。

「よく自分探し学部と呼ばれます」と荒川裕子学部長は笑う。就職など進路を決めるときになかなか自分のやりたいことを見つけられない学生は多い。実習を通して少しでも興味がある分野を体験してみることで、人生の方向性や社会とのかかわり方が見えてくるという。

とはいえ外部とのコミュニケーションに不安を覚える学生もいる。そこで力を入れるのが受講生が主体的に学ぶアクティブラーニングだ。1年生の前期には少人数のゼミなどで会議の進め方やプレゼンテーションといったグループワークのコツを一から学ぶ。

学部の開設から20年あまりが経過し、実習に対する学生の意識が変わってきているという。「以前は就職に役立ちそうな企業実習が人気だったが、最近では少子高齢化などの社会課題への関心が高まっている」(荒川学部長)。地域のまちづくりや子ども・外国人支援といったことをやってみる学生が増えているという。学部は時代に合わせた実習先を用意することで、学生の挑戦を後押ししていく考えだ。

(植田寛之)