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日銀、緩和縮小見送り 物価見通し22年度3%に

日銀は17~18日に開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めた。2022年10月時点で公表した物価見通しは22年度は3.0%、24年度は1.8%に引き上げ、23年度は1.6%に据え置いた。長期金利の許容上限は0.5%程度のまま維持した。市場では長期金利の上限を引き上げた22年12月に続き、日銀が再び政策修正に踏み切るとの観測が広がっていたが緩和縮小は見送った。

黒田東彦総裁が18日午後に記者会見し、決定内容を説明する。

会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、22年度の物価見通しを22年10月時点に公表した2.9%から3.0%に、24年度は1.6%から1.8%に引き上げた。23年度は1.6%のまま据え置いた。足元では政府・日銀が掲げる2%の物価目標を上回って推移している。政府による経済対策によるエネルギー価格の押し上げ効果もあり「23年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していく」とみている。

22年度の国内総生産(GDP)の成長率見通しは、10月時点の前年度比2.0%から1.9%に、23年度は1.9%から1.7%、24年度は1.5%から1.1%にそれぞれ引き下げた。欧米の利上げが続く中で、「グローバルな金融環境が一段とタイト化し、海外経済が下ぶれるリスクがある」という。

一定の担保を裏付けに金融機関に資金を供給する「共通担保資金供給オペ」は拡充を決めた。ゼロ%で固定していた貸付利率を貸し付けの度に決める方式に改める。10年以内の期間で日銀が設定した利率で資金を供給することで、長短金利操作と整合的なイールドカーブの形成を促す狙いがあるとみられる。マイナス金利政策や上場投資信託(ETF)の買い入れといった政策は維持した。

日銀は12月の決定会合で、企業の社債発行など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがあることを理由に長期金利の変動許容幅を0.25%から0.5%に拡大し、大規模緩和を部分的に修正した。長期国債の購入額を従来の月7.3兆円から月9兆円程度に増額し、10年物国債を0.25%の利回りで無制限に毎営業日購入する「連続指し値オペ」の利回りを0.5%に引き上げる措置も講じた。

黒田総裁は「出口の一歩では全くない」とし、金融政策の路線転換を否定。ウクライナ情勢や欧米の金利引き上げによる経済や金融資本市場への影響が不確実だとし、「さらなる(変動幅の)拡大は必要ないし、今のところ考えていない」と述べていた。

ただ、市場では日銀が緩和路線を転換するとの観測が絶えない。新発10年物国債の利回りは日銀が上限とする0.5%を4営業日連続で上回った。日銀は金利の上昇を抑えるために10年債を大量に購入しており、8、9年物国債の利回りが10年債を上回るといったゆがみが残る。

22年11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年同月比上昇率は3.7%だった。電力料金や日用品など幅広い品目に値上げが広がっている。インフレ対応で海外の中央銀行が利上げに動くなかで、政策を維持する日本の国債金利には上昇圧力がかかる構図も続く。日銀が22、24年度の物価見通しを引き上げたこともあり、次回の決定会合前にも修正観測が再び高まる可能性は高い。市場との攻防は今後も続きそうだ。