· 

中国、61年ぶり人口減 働き手は今後10年で9%減 老いる経済けん引役

産児制限のツケで少子高齢化が止まらず、23年からの10年間で生産年齢人口は約9%減る。働き手の減少が足かせとなり、世界経済をけん引してきた中国の成長にブレーキがかかる。(関連記事総合2国際面に

国家統計局が17日、22年末の人口推計を発表した。外国人を含まない中国大陸の総人口は14億1175万人で、21年末から85万人減った。

出生数は106万人減の956万人と1949年の建国以来初めて1000万人を割った。死亡者数は27万人増の1041万人だった。人口減少は大躍進施策で多数の餓死者を出した61年以来。一時的要因ではなく、減少傾向が続く見通しだ。

中国は長年、人口が世界最大の国だった。国連推計では、1日時点のインドの人口は14億2203万人。中国は外国人を含めても届かず、インドが抜いたとみられる。

マクロ経済への影響が大きい働き手の数も減少が進む。国勢調査によると1963~75年生まれは各年2000万人を超す中国の「団塊世代」だ。63年生まれの男性が法定退職年齢の60歳(女性管理職は55歳)に達する2023年から大量退職が本格化する。

日本経済新聞社は国勢調査をもとに、今後の生産年齢人口を試算した。男性を20~59歳、女性を20~54歳と定義すると、向こう10年で2億3400万人が定年退職の年齢を迎える。労働市場に参入する若年人口は1億6600万人にとどまる。

この結果、生産年齢人口は10年で6700万人(9%)減る。ピークの16年から2300万人減少しており、今後はペースが速まる。

金融危機後の世界経済をリードしてきた中国の潜在成長力が衰えていく。日本経済研究センターは22年12月、中国の実質成長率が30年代に3%を割り込み、経済規模は長期的にも米国を逆転しないとの試算を公表した。成長抑制の要因が人口減による労働力不足だ。長年指摘されてきた「未富先老」(富む前に老いる、総合2面きょうのことば)が現実味を帯びる。

習近平(シー・ジンピン)指導部は法定退職年齢の引き上げをめざすが、年金減額への反発や若者の失業悪化の懸念から具体策はみえない。少子化対策でも21年に全夫婦に3人目の出産を認めて産児制限を事実上撤廃したが、効果は乏しい。

都市部の居住費が高止まりし、保育所などの整備も進まない。大都市では高校卒業までの子育て費用が250万元(約4750万円)かかるとの試算がある。

高齢化も止まらない。60歳以上の人口比率は22年末に19.8%と、10年で5.6ポイント高まった。中国社会科学院は、公的年金の積立金が35年に枯渇するとはじく。

安全保障にも影響が及ぶ。一人っ子政策の影響が残り、とくに都市部の親は危険任務を伴う子どもの入隊に慎重だ。軍事関係筋は「人口減でなり手集めに苦労する場面が増えるだろう」と話す。

中国の1人当たり国内総生産(GDP)は22年、約1万2700ドル(約163万円)だった。日本で人口の自然減が始まった07年の1人当たりGDP(3万5847ドル)の約3分の1にとどまる。労働力不足で海外企業を引け付けてきた低コスト生産も難しくなり、社会保障負担が経済成長の重荷になる。