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大宮駅前開発、地権者まとめ役不在 さいたま市が構想も News潜望展望

地元経済界や大学教授ら有識者による構想推進会議では、駅東西を結ぶ通路の開設や雑居ビルが立ち並ぶ東口の再開発がテーマになってきた。ただ地権者は一枚岩ではなく、横断的なまとめ役もおらず、開発が構想通りに進むかは予断を許さない。

さいたま市が18年に掲げたGCS化構想を推進するための有識者会議は、これまで会議の名称を変えながら10回近く開催。駅東西の人流を促す連絡通路や東口の駅前広場の再開発、バスターミナルの整備、防災機能の強化などを協議してきた。

大宮駅前開発最大の課題は、商店街や雑居ビルがひしめく東口の再開発だ。丸井やそごうなどの大型商業施設が整備された西口に比べ、東口は狭小地にビルが立ち並び、地権者も多く、大規模開発が容易ではない。

東口は6街地区に分けられ、それぞれ再開発に向けた準備組合や推進協議会を立ち上げている。再開発には3分の2以上の地権者の合意が必要で、街区によっては半数以上の賛同が集まっている。

ただ連絡通路を建設するための用地確保など、構想を実現するための課題は多い。大宮東口商店街連絡協議会の栗原俊明会長は代表する西街区の状況について「地権者の半分が再開発について同じ方向を向いているが、詳細な部分で合意が取れているとは言いづらい」と話す。

バスターミナル建設でも民有地の使用が必要になる。ただ、東口のランドマークにもなる駅前広場の詳細な区域は決まってない。駅前広場の隣に位置する西街区は「再開発事業を具体的に考えられる状況ではない」(栗原会長)という。

22年11月には大宮駅東口前で火災が発生した

東口は老朽化したビルが密集し、地震や火災への備えも重要だ。東口の中地区再開発準備組合は「火災は昔から発生していて、住民も危惧している」という。

宮一中地区事務局の戸田建設は「老朽化した建物や狭い路地が混在している。共同化することで効率性や防災性が高められる」とみる。

再開発に懐疑的な地権者もいる。中地区のある地権者は「容積率を上げ、ビルをいくつも建てて本当に全て埋まるのか疑問だ」と話す。東口は商店街を歩きながら飲食店に立ち寄る買い物客も多い。「再開発することで大宮の特徴がなくなるのではないか。古い建物も時間がたてば、レトロな風情を残す観光資源になるかもしれない」と再開発に後ろ向きだ。

清水勇人市長は「西口やさいたま新都心駅周辺はオフィス需要が高まっている。東口に新しいビルが建てば、行政として大手企業を誘致したい。大宮駅のターミナル駅としての役割も高めたい」と再開発を後押しする意向を示す。

栗原氏は「地権者からも積極的にどのような街にしたいか、ビジョンを打ち出すことが必要だろう」と話す。(篠原皐佑)

さいたま市長「事業採算と街の魅力向上の両立課題」

大宮駅の再開発の必要性について話す清水市長
GCS化構想を掲げるさいたま市の清水市長に大宮駅前再開発について聞いた。
――大宮駅には何が必要ですか。
「大宮駅は広域的な交通網の結節点。人と物は鉄道を介して集まる。情報はさいたま市の強みを積極的に生かして集めたい。教育政策や緑豊かな環境、スポーツなどで先進的な取り組みをしている。デジタル化や脱炭素、東日本連携といった分野の会議を開く場が必要だ」
――構想会議の進捗は。
「想定の範囲内のスピードだ。東口周辺の街づくりは一時止まった感じがあった。GCS化構想が街づくりのモチベーションになっている。地権者が気にかける再開発事業の採算性と街の魅力向上をどう両立させるか、大きなポイントだ。バスターミナルの場所や駅と街のつながり方は商業に影響を与えるため、調整しないと難しい」