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米ハーバード大初の黒人学長へ クローディン・ゲイ氏 名門まとめ、変革に挑む

米国で最古の大学であるハーバード大の学長に7月就任する。同大初めての黒人学長で、女性では2人目となる。

ハイチ系移民の親を持つ。専門は政治学で、人種や貧困といった社会、経済の要因が有権者の政治見解や投票行動に与える影響などを研究する。

「有色人種の女性として、移民の娘として想像もできなかった夢を学問が実現させてくれた」。経済的に厳しい家庭環境の学生の入学機会を増やす取り組みも主導する。

様々な声に耳を傾け、意見をまとめ上げる手腕に定評がある。学長選考委員長を務めたプリツカー元商務長官は「頭脳明晰(めいせき)で、誠実で公正な人柄が素晴らしい」と評価する。

ハーバード大を巡っては人種を考慮する入学選考の是非を問う裁判が続いている。学生の多様性を実現するための措置だが、アジア系や白人学生の間で不満がある。連邦最高裁判所は今夏に判断を示す見通しで、ゲイ氏の学長就任時期と重なることも注目される。

「象牙の塔は過去のものだ。我々は社会の一部であり、世界をリードし、貢献する責務がある」。ゲイ氏は名門大の多様性を象徴する存在として、学内外の変革に挑む。

(ニューヨーク=山内菜穂子)