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イオン、営業最高益 3~11月26%増 ドラッグ店好調 最終は赤字、総合スーパー課題

ドラッグストアや不動産開発が伸びた。主力の総合スーパー(GMS)でも一定の構造改革効果が出た。ただ老朽店舗の閉鎖費用などが響き最終損益は4年連続の赤字となり、改革はなお道半ばだ。

 

売上高にあたる営業収益は6兆7217億円。今期から適用した「収益認識に関する会計基準」を考慮せずに比較すると4%増で過去最高だ。売上高営業利益率は1.7%と0.3ポイント改善した。

事業別の営業損益をみると、8事業のうちGMS、アミューズメント施設などサービス・専門店、海外の電子商取引(EC)など国際、テナント収入など不動産開発、ドラッグストアの5事業が改善した。

ドラッグストアは、新型コロナウイルスの感染再拡大を背景にウエルシアホールディングスなどで検査キットが伸びた。帰省や旅行に行く前の購入需要が多いという。国際はマレーシアでのECが好調で利益は12倍になった。

一方で最終損益は36億円の赤字(前年同期は89億円の赤字)だった。老朽店舗の閉鎖費用などで計342億円の特別損失が発生した影響が大きい。

改善の兆しが出始めたGMS事業はなお課題が残る。電気代や水道のコスト負担も増し、148億円の営業赤字(前年同期は288億円の赤字)が続く。値引き適正化やスマートフォン決済による効率化も進めるが想定以上の物価高の影響を吸収できていない。

他事業も、営業利益の過半を稼ぐ不動産開発と金融は万全ではない。不動産開発では国内の既存店売上高は3~11月期に10%増えたものの、コロナ前の19年同期比では12%少ない水準にとどまる。金融も国内のクレジットカードのキャッシング残高が減り、イオンフィナンシャルサービスの国内利益は4割強落ち込んだ。

23年2月期通期の連結業績予想は据え置いた。営業収益は9兆円、営業利益は最大2200億円(前期は1743億円)、純利益は最大300億円(同65億円)を見込む。9カ月間の営業利益の進捗率は約半分。同社は例年、第4四半期の利益が大きく、計画線上だが、材料高に景況感の悪化も加わり、先行きの不透明感は残る。

市場が注視するのは課題のGMS事業の回復度合いだ。個人消費が二極化し「お金をかけていいモノ、節約したいモノの選別が厳しくなっている」(同社幹部)中、値ごろ感と品質を両立できるプライベートブランド(PB)商品を確実に伸ばせるか。

PBでは22年秋、「トップバリュ」に一流シェフが監修したチルド食品など高付加価値品を追加した。安価な「ベストプライス」より高めの価格だが、食品のPBの売上高は前年同期比7%増えるなど堅調という。

吉田昭夫社長は社内で「オンリー・アット・イオン」という言葉を使う。合理化や費用削減や老朽化した店舗の閉鎖など痛みを伴う改革だけでなく、イオンでしか買えない商品を打ち出し、消費者を継続的に取り込めるかが成長を左右しそうだ。

(浅山亮)