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「低リスク」融資型CF 金利上昇で注目度アップ 23年のオルタナティブ投資展望(4)

23年は国内金利上昇の可能性があるが、融資型CFにとってどんな影響があるのか。

融資型CFは、個人が企業に融資できる金融商品だ。ファンドに値動きはなく、融資先の破綻がなければ、基本的に予定通りの金利付きで元本が戻ってくる。個人投資家にとっては社債に似た仕組みと言えるが、社債の発行には厳しいルールがあり、発行可能な企業が限られる。そうした制約がない融資型CFを幅広い企業が利用している。

これまで個人投資家の人気を集めてきたのは、世の中に出回る社債と比べても金利が高いものが多い点だ。円建てにもかかわらず、年率5%以上といった高金利をうたう案件が少なくなかった。外貨建てでは、新興国へ融資する案件が、10%以上の金利をうたうケースもあった。

しかし規制が緩い分、融資先の信用度が低い可能性もある。社債のような格付けも存在しないので、利回りの高さだけに引かれて投資するにはリスクが高い。過去には、高い利回りをうたって募集された融資型CFが、返済遅延やデフォルト(債務不履行)を起こしたケースが少なくない。融資型CFのプラットフォームの運営企業の破綻や撤退の例もあり、21年には大手のSBIソーシャルレンディングが、扱ったファンドの資金使途に関する不正により行政処分を受けたことを機に撤退している。

23年は国内金利の上昇が予想されるが、これによる逆風もあり得る。不動産開発案件に融資するファンドは融資型CFの中でも数が多いが、金利が上昇すれば不動産関連事業の収益性は低下するからだ。

金利の低い「低リスク型」にむしろ脚光

そんな中、注目度が高まっているのは、むしろ「金利が低い」タイプの融資型CFだ。たとえ金利が1%程度でも、円預金や日本国債など、他の低リスク商品よりは利回りが高いからだ。

例えば、ここ半年ほどで利用者が急増中という融資型CFサービスが、ファンズ(東京・港)が運営するFundsだ。同社が募集する融資型CFの利回りは年率1~2%が中心だが、「融資先を上場企業やそれに近い企業に絞る」ことでリスクの低さをうたっているのが特徴。「融資先の上場企業が破綻しない限りは予定通りの運用ができる」(同社)というリスクの低さは、融資型CFの中でも珍しい商品性と言える。「サービス開始から今まで、返済遅延やデフォルトは一度もない」(同社)

しかし疑問が湧くのは、銀行融資も受けられるはずの上場企業がなぜ、預金や社債よりは高い金利を払って個人から資金調達するのかだ。

「銀行だけでは必要資金の全額を借りられないことも多い。また、株式相場が不調だと、上場企業が新株を発行しての資金調達も難しい。小規模な上場企業の資金調達手段は意外と乏しく、その資金ニーズと個人投資家を結び付けた」(同社)

23年も不安定な相場が続くなら、企業が資金調達に苦戦する状況も続き、結果として融資型CFの品ぞろえも増やしやすくなるという。また、個人向けの知名度向上を狙うマーケティング的な意図で、あえて個人から資金調達しようとする企業もある。また、国内金利が仮に上昇していけば、それに合わせて新規設定されるファンドの利回りが上昇する可能性もある。

なお、融資型CFの多くは、運用期間が1年程度など短期間。長く運用を続けたいなら頻繁に次のファンドに乗り換える必要がある。収益が雑所得で確定申告が必要になる可能性があるなど、株式や債券などへの投資とは違った手間がある点には注意が必要だ。

(臼田正彦)