同地域ではオフィスビルや集合住宅など大型物件の開発が活発で、契約など商習慣も欧米の先進国に近いことから強化する。
天野裕正社長が日本経済新聞のインタビューで明らかにした。天野社長は「契約やビジネスのやり方が欧米先進国に近い」と利点を強調した。ビルやマンション、土木関連で扱う業務量を増やすという。
鹿島は2015年にオーストラリアに現地法人を設立後、同年に集合住宅の建設・開発を手がけるアイコン社を、17年に工場や公共施設の建設を手がけるコクラム社をM&A(合併・買収)した。22年3月期の連結売上高のうち海外売上高が6241億円と3割を占め、このうちオセアニア地域は968億円になる。
オセアニアの売上高はここ数年900億~1000億円台で推移するものの、天野社長は「現地に乗り込んで数年たつ。投資効果を出したい」と期待を込める。目標ありきではないとして売上高を2倍にする年限は定めないとしつつ「通常なら5年程度で見込めるのではないか」とした。
鹿島をはじめとする日系大手ゼネコンの海外進出は東南アジアと北米が中心だ。ただ、東南アジアを中心とするアジアは新型コロナウイルスの感染拡大により、工事中止や延期の影響が続く。鹿島のアジアの売上高は22年3月期に初めてオセアニアを下回った。天野社長は「アジアは23年3月期から24年3月期にかけてはコロナ禍前に比べて業績は低調だ」として、回復に数年かかるとみている。
一方、北米は電子商取引(EC)に伴う物流倉庫の開発事業が好調で、22年3月期の連結最終益が増益になる要因となった。オセアニアでは北米と同様に先進国型のEC需要が見込め、ビジネス上の契約慣行も北米に近い。北米で培った事業モデルを軸にアジア以外の成長市場としてオセアニアを重視する。
鹿島はオーストラリアでは22年3月期にビクトリア州政府から公共集合住宅の大型工事を受注したほか、オーストラリア軍の島しょ防衛施設の施工を手がけている。現地ゼネコンを傘下に収めた強みを生かし、公共事業の受注も収益基盤になると見込む。
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