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姿現す福岡「2都心」再開発 働の天神・賑の博多に

福岡市天神の再開発促進事業「天神ビッグバン」が節目を迎えた。街区をまたぐような大規模再開発の申請が2022年末で締め切られ、残る対象案件は26年までに竣工するものになる。博多駅周辺での再開発促進事業「博多コネクティッド」も加速している。新たな顔を見せ始めた2つの「都心」が、同市の魅力を高める。

 

天神ビッグバンでは22年5月までに59棟の再開発が申請され、うち50棟が竣工済みだ。事業終了予定の26年末までに、計70棟程度のビルが建て替わる見込みだ。街区をまたぐ大規模再開発は主なものだけで、新天町商店街と福岡パルコ、福岡中央郵便局とイオンショッパーズ福岡、地区東端の水鏡天満宮周辺などが計画されている。

従来の天神は商業の中心地として、多くの買い物客や観光客を集めてきた。再開発されたビルの低層階にも商業施設や飲食店などが入り、集客力を高める。さらに地区の中心から少し離れた昭和通り北側や那珂川沿いにも新施設ができており、来街者の回遊範囲が広がることが期待される。

再開発ビルの多くは上層階にオフィスフロアを設け、天神は「ビジネスの街」としての色合いも濃くする。天神を中心に、25年までに予定されるオフィスの供給面積は約26万平方メートルに上る。市内の賃貸オフィス総面積(21年時点)の1割近くが新たにできる格好だ。

天神地区のオフィス空室率は、三幸エステートの調べによると22年11月時点で4.2%。「適正空室率」とされる5%を下回り、「貸し手市場」となっている。新型コロナウイルスの感染拡大などでオフィスの移転計画を保留していた企業も動きだしつつあり、需要は当面底堅いとみられている。

三幸エステートの今関豊和チーフアナリストは天神ビッグバンについて「街の大きな変化を全国に知らせ、福岡の良いイメージを醸成することができた。老朽化した街の新陳代謝の進め方としても他地域の参考事例になる」と評価する。

天神ビッグバンから4年遅れて19年に事業がスタートした博多コネクティッドの対象エリアでも、あちこちでつち音が響いている。28年の事業期限に向け、22年5月末時点で20棟が申請している。

博多イーストテラス㊥は、博多コネクティッドの規制緩和第1号として完成(福岡市)

同事業での規制緩和第1号ビルである博多イーストテラスが22年に開業したほか、博多駅東側の福岡県福岡東総合庁舎跡では賃貸オフィスなどが入るビルが23年度に、同西側の西日本シティ銀行本店が25年にそれぞれ完成予定だ。同行は別館と事務本部の建物も再開発することにしている。

博多駅でも在来線上にホテルや商業施設、オフィスが入る高さ60メートルの複合施設が、28年末までに整備される計画だ。ホテルは外資系の高級ブランドを軸に誘致し、列車を間近で見られることを売りにする考えだ。

博多駅エリアは大型の商業施設が駅や隣接地に集中し、回遊性が弱かった。総合不動産サービス、JLL福岡支社の山崎健二支社長も「博多は駅を中心にした街で、天神西通りのような『商店街』の機能が欠けている」と指摘する。

再開発ビルの多くは低層階にカフェをはじめ飲食店や店舗を設けることなどを計画する。西日本シティ銀行本店にはホールができる予定だ。すでにイーストテラスの広場では昼にはキッチンカーが並び、イベントも開催されている。

さらに同駅から西へ徒歩約10分で、インバウンド(訪日外国人)も多く訪れる大型商業施設「キャナルシティ博多」と結ぶ道路なども再整備される。再開発を通じて回遊性や賑(にぎ)わいを高めたい考えだ。

福岡市の高島宗一郎市長は22年8月、博多駅筑紫口(東口)の駅前広場再整備完成式で「博多を盛り上げるため、機能が強化されていく」と強調した。オフィスが中心の博多駅周辺も再開発を通じ、街のイメージを変えようとしている。(大淵将一)