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あなたの生きる喜びは何ですか? 芳井敬一・大和ハウス工業社長(1月10日)

大和ハウス工業は第7次中期経営計画と同時に「生きる歓びを、未来の景色に。」というパーパス(自社の存在意義)を打ち出しました。家づくりや街づくりを通して、従業員、お客様、株主などのステークホルダー(利害関係者)と喜びを分かち合える世界を実現することが、2055年の創業100周年に向けた大きな目標です。

今、注力している事業の一つに「リブネスタウンプロジェクト」があります。これまで当社が開発してきた大規模団地を、住んで良かった、これからも住み続けたいと感じる街にしていく事業です。大規模団地は日本の高度経済成長期、全国に作られました。当時は少子高齢化社会の到来を予想できず、空き家が目立つなど、今も住み続ける方々にとって、大規模団地から快適さが失われつつあります。

私たちには「つくった責任」があると考えます。自分たちがつくった街が泣いているのに、この現実に目をつぶって未来の街づくりを論じる資格があるのだろうか。これまでにつくった街が時代の変化に合わなくなり、不便を感じておられるなら、それを正す責任があるのではないか。それができるのはつくった私たちだけなのです。当社は全国61カ所で大規模団地を開発しました。まず8カ所について、街の新たな魅力づくりに着手しました。私が驚いたのは、このプロジェクトに関わりたいと手を上げる若い社員が多かったことです。「こういう仕事をやりたかったんです」と、社内副業制度を活用して参画する社員が相次ぎました。専任で関わる社員の中には、着手中の団地に移住した人もいます。自治会活動に加わり、住民の声を直接聞き、住民と一緒になって取り組むことで、より成果のあるリニューアルを目指しています。まさにお客様と社員、会社の喜びが同時に実現できる貴重なプロジェクトになっています。

地域の活性化を議論するとき、人の集まる施設の誘致が有効という考え方があります。例えばショッピングモールやレジャー施設を設ければ、昼間の時間帯は人が増えるでしょう。ただ人口が増えることはなく、住民の喜びにはつながりません。この街に住んでよかった、ずっと住み続けたいと思えるような事業でないと、つくった責任は果たせないのです。

企業にとって最重要課題の一つである環境問題についても、当社はすべてのステークホルダーと分かち合える喜びの実現を目指しています。2040年までに事業で使用する電力を100%、再生可能エネルギーでまかなう国際的な取り組みを、17年前倒しで23年度中に実現できそうです。太陽光発電、水力発電、風力発電など、様々な再生可能エネルギー事業に、当社は早くから取り組んできました。再生可能エネルギーを使って建てた、環境に優しい家に住み、ビルや商業施設で働くことに喜びを感じていただけたら、そして美しい地球を未来の世代に引き継ぐことに貢献できたら、私たちとしてもうれしいです。

そこで読者の皆さんにお願いです。皆さんの生きる喜びは何ですか。会社の中の私たちが気づかないような、外からの視点で皆さんの生きる喜びを教えてください。私たちがその声を生かし、喜びのある幸福な未来の家づくり、街づくりに生かしていきます。

芳井敬一・大和ハウス工業社長の課題に対するアイデアを募集します。
投稿はこちら(https://esf.nikkei.co.jp/mirai20230110/)から。