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米、宇宙も対日防衛義務 衛星への攻撃抑止想定 2プラス2へ調整

日米両政府は宇宙空間を米国の対日防衛義務の対象と確認する最終調整に入った。米国は日米安全保障条約5条に基づき日本が運用する人工衛星などを防護する。衛星は相手国の軍事活動監視の「目」として重要性を増している。中国やロシアの開発動向を踏まえ日米の抑止力向上を急ぐ。(関連記事総合・政治面に

 

米側が対日防衛義務の適用を調整すると日本側に伝達した。11日にワシントンで開く外務・防衛担当閣僚協議(日米2プラス2、総合・経済面きょうのことば)で発表する共同文書に盛り込むことをめざす。13日の首脳会談でまとめる安保に関する共同文書にも反映する方向だ。

日米安保条約5条は日本の施政下で武力攻撃があったとき、米国が対日防衛にあたると規定する。宇宙には国境の概念がないものの、日本が持つ衛星は施政下にあると定義する。

他国から攻撃を受ければ日米が武力を用いて対抗する姿勢を明確にし、抑止力につなげる。具体的な対応方法はこれから詰める。

2019年には従来の陸海空に加え、新たな戦闘領域の一つであるサイバー空間にも適用すると確かめた。今回の2プラス2で宇宙も対象にすると明示する見通しだ。

宇宙空間を重視する背景には各国が軍事利用の動きを活発にしている事情がある。中国とロシアは宇宙での軍事的優位性を確保するため、他国の宇宙利用を妨げる能力を高めている。

衛星と地上の通信を妨害したり、衛星を破壊するミサイルやレーザー兵器を開発したりしているとの見方がある。他国の衛星に接近して攻撃する「キラー衛星」の保有計画も進める。

ウクライナ侵攻でも宇宙の軍事利用の重要性が再認識された。ミサイル発射や無人機利用は宇宙からの通信が必須だ。

台湾有事をにらんだ日本の防衛力強化も衛星が不可欠となる。

22年12月に決めた国家防衛戦略で長射程ミサイルや電磁波・無人機を用いた防衛を重視すると明記した。衛星による情報が必要だ。攻撃を受ければ自衛隊の活動に影響が及ぶのは避けられない。

日米は近年、宇宙の防衛協力を強化してきた。衛星で得られる情報を共有して不審船探知につなげる「海洋状況把握」の推進などで連携する。

多数の小型衛星を連動する観測網「衛星コンステレーション」でも日米協力を見込む。中国やロシア、北朝鮮が開発する極超音速兵器の探知・追尾に活用する計画だ。

米国は19年に宇宙軍を発足させ防衛体制を拡充した。日本も「宇宙作戦隊」を新設し、宇宙ごみや衛星への電波妨害を監視している。

国家安保戦略などの安保関連3文書では航空自衛隊を改組して「航空宇宙自衛隊」を設置する方針を掲げた。

日米2プラス2では宇宙分野のほか、日本が保有を決めた相手のミサイル発射拠点をたたく「反撃能力」に関する協力や南西方面の基地、公共インフラの共同使用を拡大する方針を打ち出す。