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教育通じて貧困減らす タイ・サタデー・スクール財団創設者 ソラウィット・パイブーンラッタナコーン氏

国内には貧困で活躍の機会を奪われた子がたくさんいるはずだ。政府が子どもの才能を伸ばすような努力をしなければ、社会の損失になるだろう。

原則土曜日に授業をするサタデー・スクールは、全国40カ所に拠点を持つ。10代の生徒が対象で、これまで8千人が参加した。指導者はボランティアでSNS(交流サイト)などであらゆる業界から募っている。生徒が興味を持つ分野を教えるのが活動の特徴だ。最近はゲーム開発を手がける企業と提携し、ゲーム対戦競技「eスポーツ」をテーマにした授業も実施した。

活動の大きな目的は子どもたちが自分の才能を最大限に生かせる機会を得て、社会のために働く市民としての自覚を持ってもらうことだ。教育は社会の安定や国の経済発展に欠かせない要素だ。

私はバンコク近郊の名門とされる高校に通っていた。当時の校長は「社会のために働きなさい。そのために社会は君たちに投資している」と常日ごろから語っていた。社会を良くすることが私の人生の目的と考え始めたのはこの時期だ。

新型コロナウイルス禍による経済の悪化で経済格差は広がった。教育現場はオンラインに移行した。これまで学校に通えていた生徒も、パソコンやスマートフォンを持っていなかったために教育を受ける機会を失ったケースが目立つ。

政府は貧しい人々により多くの予算を割くべきだが、現実は簡単ではない。政策に携わる公務員の意識は簡単には変えられない。タイに深く根ざす文化とも言える汚職問題が大きく絡む。タイでは、公務員の待遇が良くないことも多い。

社会のために働くという意識改革には、長い時間がかかる。他者を思いやれる人間、我々の活動に共感してくれる人々や組織を増やすことが、貧困撲滅への近道になると信じている。