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クッキーに同意、どんな意味? サイト閲覧者の情報保護 親子スクール・ニュースイチから

イチ子お姉さん
ニュースキャスター志望の大学生。国内外の報道を欠かさずチェックする
からすけ
イチ子の弟。中学生で、日々のニュースに興味を持ち始めたところ

イチ子 まず、Cookie(クッキー)とはネットの閲覧履歴を記録する仕組みだよ。簡単にいうと、どのウェブサイトを見たかを覚えておくことね。

サイトを見る際、米グーグルの「クローム」、米アップルの「サファリ」などの閲覧ソフト(ブラウザー)を使うよね。利用者がそのサイトを初めて訪れると、ブラウザーに「クッキーID」が振られる。これを使って利用データがブラウザーに保存されるの。クッキーそのものに氏名や住所は含まれないけれど、どのIDの人なのか識別したり訪問回数を記録したりできるよ。

ネット通販で物を買おうとして買い物カートに入れるとするよね。ブラウザー画面を一度閉じて、再度訪れると買い物カートに入れた商品がそのままになっていることってないかな。これはクッキーのおかげなんだ。

からすけ 便利だね。

イチ子 でもクッキーの使い方によっては消費者のプライバシー侵害につながるという批判もあるの。最近、クッキーの取得同意の表示が出るようになったきっかけもこのプライバシーの問題が関わっているんだ。

クッキーは2種類あるよ。1つは訪問先のサイト事業者が発行するものね。これとは別に、サイトで広告を表示する企業など第三者が発行するものもある。利用者が別サイトに移動しても追跡し把握できるの。ウェブ広告会社などは多くのサイトにこの仕組みを取り入れてきたよ。

行動・購買履歴から利用者の人物像を推測し、その人が興味を持ちそうな広告を出す「ターゲティング広告」(キーワード)などに活用されているよ。

からすけ なるほど。見張られている感じもするね。

イチ子 行動履歴から自分の人物像が推測されるなんて気持ち悪いと思う人もいるよ。自分の病気、職場での悩みなど個人的な事柄をネットで検索する場合も心配だよね。他人に知られたくない情報もクッキーを利用して広告企業に勝手に集められているかもと思ってしまう。

こうしたプライバシーへの懸念が広がり、欧州連合(EU)が規制するようになったんだ。2018年に一般データ保護規則(GDPR)が施行され、クッキーも氏名などと同じ個人情報と規定されたの。同意の表示がサイトに出てくるようになったのも、そのためだよ。

クッキーを拒否する手順を難しくしたとして、規則に基づいて罰金を命じられた企業もあるよ。各国もクッキーへの規制を強化するようになっているね。

からすけ 日本はどうなっているの。

イチ子 22年4月に改正個人情報保護法(キーワード)が施行されたよ。クッキーを個人情報と規定していないけれど、使い方によっては本人の同意が求められることになったの。例えば、自社サイトのクッキー情報を委託先に提供し、そこで別データと付き合わせることで個人を簡単に識別できる場合だね。利用者にデータ取得の目的を知らせて同意を得る必要があるよ。

プライバシー保護規制への対応を支援するインターネットイニシアティブ(IIJ)によると、日本では法的義務がないサイトでも、透明性向上や企業のイメージを保つために同意を取ることが増えているそうだよ。

サファリの設定からクッキーをブロックすることもできる

からすけ 利用者は、クッキーの同意取得の表示を見たらどうすればいいのかな。

イチ子 説明をしっかり読んで、自分に関わるデータがどのように使われるのか理解したほうがいいよね。その上で同意するかどうか、決めたらどうかな。

ウェブ広告会社など第三者が関わるクッキーの利用を、ブラウザー側が廃止する流れもあるんだ。ブラウザー最大手のグーグルは、こうしたクッキーの利用制限を24年後半に始める予定だよ。

からすけ クッキーが使えないと広告会社も不便では。

イチ子 クッキーを使わない広告手法も登場しているよ。まずサービス事業者が利用者から直接情報を得て分析する方法だね。例えば、アプリやサービスの利用者にアンケートを実施し、年齢層、趣味、使うポータル(玄関)サイトなどを知る。それに基づいて広告戦略を考えるんだ。

見ているサイトの内容とそこにとどまった時間などから興味分野を分析し、文脈に合った広告を出す手法もあるよ。見ているページに関連した分野の広告を出すので、「なんでこの広告が出るの」という利用者側の疑問は減ると考えられている。デジタルの広告も進化しているよ。

からすけ 自分がいろいろなサイトを見る際、どんな広告が出ているか見比べてみるね。

キーワード

ターゲティング広告 
対象を絞り配信する追跡型のデジタル広告。ネットの検索や閲覧、購買などの履歴、位置情報、年齢などのデータを分析し、個人単位で広告を出し分ける。サイトへの再訪を促す「リターゲティング」では、例えば車を調べると別のサイトでも車の広告が出る。

個人情報保護法 
氏名や生年月日、免許証の番号といった個人情報の取り扱いを定めた法律。ネットの普及で個人情報保護の動きが強まったのを受けて改正された。クッキーの利用を一部制限するほか、個人情報を海外に移す際は利用者への移転先の国の明示や同意取得を求めている。
もっと教えて
豊島岡女子学園中学高等学校の神谷正昌先生の話 
映像と音声による双方向の通信手段を用い、独裁国家が人々を監視・管理する社会を描いたジョージ・オーウェルの「1984年」は、情報監視社会の怖さを表す小説として知られています。
現代はインターネットで商品を注文したり、お店でもキャッシュレスで品物を買ったりすることが増えました。誰がいつ何を購入したのか、履歴がはっきりと残ります。電車などに乗る際も、切符ではなくICカードを使用する機会が多いので、移動の記録も明確になります。
情報化が進む中、個人情報がある程度管理されるのも覚悟しなければなりませんが、これらが国民監視に使われてしまう可能性もあります。
一方で近年、プライバシーの権利は個人情報を単に保護するだけでなく、自分でコントロールする権利と捉えられるようになってきました。今後は、自己の情報を主体的に管理することが求められるでしょう。

(若山友佳)