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23年の首都圏、広域鉄道網が完成 大型都市開発も続々

鉄道の新駅開業を控える街では、駅を起点に徒歩で回遊できるエリアを中心に大規模集客施設の建設が進む。鉄道網の整備で地域間の往来が容易になるうえ、交通手段の選択肢が広がることで新たなにぎわいが期待されている。

「新横浜線」開業、3都県のアクセス向上

東急電鉄と相模鉄道は3月18日、両社の直通線「新横浜線」を全面開業する。羽沢横浜国大駅から新駅の新横浜駅と新綱島駅を経て東急線の日吉駅に接続する。相鉄本線の海老名駅(神奈川県海老名市)から東急目黒線の目黒駅(東京・品川)へ、相鉄いずみ野線の湘南台駅(同県藤沢市)から東急東横線の渋谷駅(東京・渋谷)への直通運転が可能となる。

さらに東京メトロや都営地下鉄、東武線、埼玉高速鉄道などに乗り入れることで、神奈川・東京・埼玉3都県の7社局14路線の広域鉄道ネットワークが形成される。新駅の新横浜駅はJR新横浜駅北口前に位置し、東海道新幹線へのアクセスも良好だ。

湘南台駅から東京メトロ副都心線の新宿三丁目駅(東京・新宿)までの所要時間は最速59分。海老名駅から都営三田線の大手町駅(東京・千代田)まで最速70分。新横浜駅から埼玉高速鉄道の浦和美園駅(さいたま市)まで最速84分となる。

直通線の開業を見込んで沿線では再開発が加速する。相鉄グループはいずみ野線のゆめが丘駅(横浜市)前に約140 店舗が入る大規模集客施設を建設中だ。24年夏開業を目指している。施設周辺では約24ヘクタールの土地区画整理事業が進んでおり、集合住宅や病院なども整備される予定。相鉄グループ担当者は「沿線の流入人口拡大につなげたい」としている。

JR東日本グループは京葉線・幕張豊砂駅前にホテルを開業する(イメージ)=JR東日本千葉支社提供

JR京葉線に幕張豊砂駅、周辺のにぎわいに期待

千葉県内では3月18日、JR京葉線の新習志野駅と海浜幕張駅の中間に「幕張豊砂駅」(千葉市)が開業する。県と千葉市、イオンモールで構成する協議会とJR東日本が協定を結び工事を進めてきた。24年にはJR東日本グループがホテルを開業予定だ。

新駅の前には商業施設「イオンモール幕張新都心」や「コストコホールセール幕張倉庫店」が立地している。バスか車で訪ねるのが一般的だった施設に駅から徒歩で行けるようになり、周辺のにぎわいが期待される。

埼玉高速鉄道を延伸して浦和美園駅―東武野田線・岩槻駅間の先行開業を目指す(さいたま市の浦和美園駅)

埼玉県内では、県やさいたま市が地下鉄7号線(埼玉高速鉄道)の浦和美園駅(さいたま市)から東武野田線の岩槻駅(同)までの延伸計画の前進に向けて取り組んでいる。市は同区間に設ける新駅周辺の街づくり方針を策定し、延伸事業の魅力を高める考えだ。

東京・虎ノ門では駅・街を一体開発

森ビルの「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は2023年7月竣工予定(イメージ)

東京都内では、森ビルが東京メトロ虎ノ門ヒルズ駅(東京・港)と一体開発する「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」が23年に完成する。地上49階建て、高さ約266メートルの「ステーションタワー」が7月に竣工し、ビジネス発信拠点などが開業する。同社の担当者は「都市を育てるために人を呼び込む運営をしていく」と話す。

国道1号を挟んだ「森タワー」との間に幅約20メートルの歩行者デッキを渡す。バス高速輸送システム「東京BRT」などが発着する大規模バスターミナルも整備しており、エリア全体の回遊性を高める。

新型コロナウイルスや国際情勢などの影響で景気の先行き不透明感は続くが、人流の変化がもたらす社会経済活動への効果が注視される。