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首相「増税前に選挙」、与野党に波紋 解散絡む発言、自民党内で慎重論

次期衆院選で増税が争点になりうる。首相の自民党総裁としての任期や衆院議員の任期と絡み解散時期を巡る臆測が出る。

 

首相は27日のBS-TBS番組で増税を巡り「スタートの時期はこれから決定するが、それまでには選挙はあると思う」と述べた。

自民党幹部は27日、記者団に「正論だが増税を掲げて選挙に勝った人は少ない」との見解を提示した。28日に首相と会った政府高官は記者団に「衆院選はいつでもありうる。増税前も日程上の可能性としてある」と語った。

衆院議員は2025年10月に任期が満了する。首相は具体的なタイミングには言及しなかったが、解散の時期を限定しかねない発言をするのは珍しい。

公明党の山口那津男代表は28日に首相官邸で首相と会談後、記者団に「解散は首相の専権事項なので解釈、評価は控えたい」と答えた。

立憲民主党の長妻昭政調会長は「『信を問うべきだ』との意見がある自民党内への配慮にすぎない」とみる。日本維新の会の藤田文武幹事長は「国民に信を問うのは当然だ」と強調した。

木原誠二官房副長官はテレビ朝日番組で、衆院解散は増税時期の決定前後の「両方ありうる」との認識を示した。「首相の心の内は見えない」とも指摘した。

政府は23~27年度までの5年間で総額43兆円程度の防衛費を確保し、27年度以降は増税で毎年1兆円強を充てる方針だ。税目は法人税や所得税、たばこ税が対象となる。

首相は23年度は増税せず、27年度までに段階的に増税すると説明してきた。23年度の税制改正大綱は増税開始を「24年以降の適切な時期」と明記するにとどめた。

「増税前の選挙」は仮に24年に増税を始める場合、最も早くて23年中の衆院選となる。

いつ増税を始めるかは政府・与党が年明け以降に調整に入る。

自民党の萩生田光一政調会長は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を決定する23年6月ごろまでに財源の詳細を決めるべきだと説く。25日のフジテレビ番組で「国民に判断いただく必要は当然ある」と主張した。

骨太の方針は翌年度の予算や税制の大枠について6月をめどに定める。5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)の直後で、外交の成果も掲げて選挙を戦いやすいとの読みがある。

増税の内容は例年11~12月の与党税制調査会で決まる。税制改正大綱をまとめた後の23年末の解散論も取り沙汰される。

23年の与党税調の協議は通常より早まる可能性がある。自民党の宮沢洋一税調会長は16日の記者会見で「途中段階で(24年度改正とは)切り離す考え方もある」と触れた。

自民党内には増税自体に慎重論が根強い。23年に決めるべきではないとの意見もある。23年末に決める24年度の税制改正大綱に盛り込まなければ、開始時期は25年度以降になるとみられる。

この場合、24年9月の首相の自民党総裁としての任期後に増税が始まる。可否を決める前に総裁選があり、増税の時期や内容が選挙の争点になる可能性が出てくる。

増税開始が26年度になると25年10月に満了する衆院議員任期をこす。任期満了による衆院選であれば、首相が総裁任期中に解散しなくても増税の前に選挙がある。