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中国、1月8日に入国時隔離撤廃 出国も正常化めざす方針

中国政府は26日夜、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、海外から中国本土に入る際に義務付けているホテルでの強制隔離を2023年1月8日から撤廃すると発表した。中国人の海外旅行についても「秩序を持って回復させる」と説明し、正常化をめざす方針を打ち出した。

入国時の強制隔離は新型コロナの感染拡大から3年近く続いていた。ビジネスや学業での往来再開にむけた障壁となっていた。感染者を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策から、一段と踏み込んだ方針転換となる。

発表によると、1月8日から入国後の強制隔離を取りやめる。現在は5日間の強制隔離と3日間の自宅隔離が義務付けられている。入国後に定めていたPCR検査についても、入国前48時間以内のPCR検査での陰性証明書の提示のみを求める措置に切り替える。

中国政府は発表で、工場生産の再開に必要な技術者やビジネスマン、留学生などに「ビザ(取得)の便宜を図る」と説明した。ビザなし観光客の受け入れについては触れていない。本格的な往来の回復には時間がかかる可能性がある。

中国人の海外旅行については外国の感染状況を踏まえて、将来的に解禁する考えを示した。時期は明示していないものの、実現すれば訪日客の増加が予想される。

中国では11月下旬以降にゼロコロナ政策を大幅に緩和し、感染が急拡大している。北京市では繁華街やオフィスに人が戻りつつあるが、地方都市で感染者が急増しているとみられる。1月下旬には帰省や旅行で国民が移動する春節(旧正月)を控え、農村部へのさらなる拡大も懸念される。

中国政府は26日、感染症の危険度判断の引き下げも決めた。感染症を危険度順に分けた「甲類」「乙類」「丙類」の3つのカテゴリーのうち、中国当局は、コロナについてはコレラやペストの際に実施する「甲類並みの管理」を求めてきた。

これを1段階引き下げ、エイズや重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ「乙類乙管理」としての扱いを徹底するように求める。地方当局が患者を強制的に施設で隔離したり、地域を封鎖したりするのは難しくなる。ゼロコロナの法的な根拠が事実上なくなる。