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Alphabetやメタなど、欧州でオフィス縮小

米テックグループの中でグーグル親会社のアルファベット、SNS(交流サイト)のフェイスブックを展開するメタ、顧客情報管理(CRM)のセールスフォースなどが英ロンドンやアイルランドの首都ダブリンで賃借しているオフィスの撤退を模索している。事情に詳しい複数の人物が語った。

このような動きは、テック各社が株価下落を受け、人員解雇も含むコスト削減に取り組むなかで起きた。各社のオフィス撤退は、2008年の金融危機以来で最大の難局に直面している不動産賃貸業界にとって追い打ちとなる。金利上昇、景気見通しの悪化、在宅勤務の増加を背景に、オフィスの価値は大西洋をはさんだ両岸で急落している。

転貸するテック企業も

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中にリモートワーク希望者が増えたことから、不動産不況の中で余剰スペースを転貸しようとするテック企業もあり、一時的な不動産賃貸業者に転換したような状況にもなっている。

オフィステナントに助言する英商業不動産コンサルティング会社デボノ・クレサのクリス・ルイス氏は「(テック大手の)オフィスに行ってみるといい。どこも収益を生まない部門にスペースをたっぷり割り当てている。非常にもったいない」と語った。「実に野心的な従業員数を念頭に借りたのだろう」

グーグルは23年にロンドン中心部ビクトリアの「ベルグレーブ・ハウス」を含むオフィスのうち、少なくとも1カ所から退去する計画だと、事情に詳しい3人は言う。

ベルグレーブ・ハウスはかつてグーグルのロンドン本社だったが、同社が複数のフロアを占有する状況は終わりに近づいていると3人は語る。

この動きは同社の大規模な業務再編計画の一環で、ロンドン北部キングス・クロスで10億ポンド(約1600億円)を投じて建設中の新社屋に従業員の大半を移す意向だ。

同社の事業に詳しい人物によると、グーグル従業員の10人に1人が恒久的なリモートワークを選択したため、オフィス退去が前倒しされたという。

同社はロンドン各地で借りている他の複数オフィスでも転貸や退去を模索していると計画に詳しい複数の人物は指摘する。

グーグルにコメントを求めたが、応じなかった。

メタは21年にロンドン中心部フィッツロビアで31万平方フィート(約2万9000平方メートル)のオフィスの賃貸契約を結んだが、この契約について事情を知る複数の人物によると、同社は一度も入居しないまま転貸しようとしているという。アイルランドのダブリンでも、入居目的で借りた数十万平方フィートのオフィスで新しいテナントを探している。

メタのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、経費削減のために「オフィス占有面積を縮小」すると述べている。オフィスへの出勤と在宅などでの仕事を組み合わせる「ハイブリッド勤務」の従業員にはデスクの共有を求めるという。

米国でも似たような状況

こうした状況は、米国でも同じだ。メタは西部カリフォルニア州フレモントのビルでテナントを探そうとしているほか、南部テキサス州オースティンのオフィス拡張計画を棚上げし現在は転貸している。東部ニューヨーク州マンハッタンにある3つのオフィスのうち2つは賃貸契約を解除した。

メタは「オフィスの役割をめぐっては、この数年で新しい可能性が生じている」と指摘した。

ロンドン中心部の繁華街オックスフォードストリートを走るバス(22日)=AP

ビジネスチャットツールの「Slack(スラック)」を傘下に持つセールスフォースは、金融街シティ・オブ・ロンドンにあるビルの1つのフロアを部分的に賃貸に出すことを認めた。

米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と米マイクロソフトはパンデミック前に計画していたロンドンのオフィス拡張計画を凍結したと、ロンドンのオフィス仲介業者は話す。両社にコメントを求めたが、すぐには回答がなかった。

イーロン・マスク氏という新しいオーナーを迎えた米ツイッターがどう動くかは明らかになっていない。同氏はツイッター従業員の半数近くを解雇する一方で、残った従業員に出社再開を求めている。ツイッターで不動産業務を担当していたバイスプレジデントも11月に退職した。

出社要求でオフィス拡充も

一方で、従業員にオフィス勤務再開を求めているテック企業の間ではオフィス拡張の動きもみられる。

写真共有SNS「スナップチャット」を運営する米スナップは8月に従業員の2割を解雇し、10月にはサンフランシスコのオフィスを閉鎖した。だが、事情に詳しい人物によると、同社はオフィスの再開と拡張を計画しているという。従業員に対し、少なくとも週4日の出社を求めているという。

動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する米ティックトックは同様の勤務形態を取り、9月以降は従業員に週2~3日のオフィス勤務を命じている。

中国の字節跳動(バイトダンス)傘下で急成長中の米ティックトックは、シティ・オブ・ロンドンの北に位置するファリンドンにあるロンドン本社近くの新築オフィスビル「バーダント」を一括賃借する契約を近く締結する。同社計画に詳しい3人が語った。同社はダブリンでもオフィスを拡張している。同社のコメントは得られなかった。

By George Hammond and Cristina Criddle

(2022年12月22日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)