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イールドカーブ、緩和修正で注目 ゆがむと何が問題? イチからわかる金融ニュース

日銀が大規模緩和を修正し、長期金利の許容変動幅を0.25%から0.5%に広げました。黒田東彦総裁は「イールドカーブがゆがみ、企業金融などにマイナスの影響を与える恐れがあるので、市場機能の改善を図った」と説明しています。そもそもイールドカーブとは何か。ゆがむと何が問題なのか。わかりやすく解説します。

この記事のポイント
・イールドカーブって何?
・イールドカーブのゆがみとは?
・ゆがみをどうやって直すの?

イールドカーブって何?

イールドカーブとは債券の満期までの期間(残存期間)と、その債券に投資して得られる収益(利回り)の関係を示す曲線です。例えば、23日時点の国債利回りは2年物で0%、10年物で0.37%、20年物で1.215%となっています。横軸に残存期間、縦軸に利回りをとって線でつなぐとイールドカーブができあがります。

日銀は企業がお金を借りやすくするため、金利を極めて低い水準に誘導する「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」という金融緩和策を採用しています。具体的には、イールドカーブの起点となる短期金利をマイナス0.1%、長期金利の指標となる10年物国債の利回りをゼロ%程度に誘導しています。

問題は「ゼロ%程度」の解釈です。範囲が狭すぎると本来の金利水準を反映しなくなり、逆に広すぎるとゼロ%から離れてしまいます。日銀は長期金利の許容変動幅を導入当初のプラスマイナス0.1%から0.2%、0.25%へと段階的に広げていきました。今回は一気に0.5%まで拡大したので、市場に衝撃が走りました。

イールドカーブのゆがみとは?

イールドカーブは通常、右肩上がりの曲線になります。残存期間が長い債券ほど元本が返ってくるまでの不確実性が高まり、投資家が高い利回りを要求するからです。ところが、日本では残存7~9年の国債利回りが10年債を上回っています。

国債は金利が上昇すると、新たに発行される高い金利の国債よりも魅力がなくなり、価格が下落します。米欧の中央銀行が利上げを進め、日本の金利も上昇しました。日銀は低い金利(高い価格)で10年物国債を大量に買って長期金利の上昇を食い止めましたが、10年以外の国債利回りは大幅に上昇しました。

企業は社債を発行して資金を調達することがあります。社債金利は国債利回りに企業の信用力に応じた金利を上乗せして決めます。ところが、日銀が基準となる10年物国債の利回りを抑え込んだせいで「金利の(適切な)水準がわからなくなり、市場機能がまひした」(大和証券グループ本社の中田誠司社長)のです。

ゆがみをどうやって直すの?

日銀は長期金利の許容変動幅を0.5%に広げ、イールドカーブのゆがみを解消しようとしました。黒田総裁は「市場機能が低下している。国債金利は社債や貸し出しの金利の基準になるので、こうした状態が続けば、企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがある」と20日の記者会見で理由を語りました。

長期金利は大幅に上昇しましたが、残存7~9年の国債利回りを下回ったままです。日銀が10年物国債の9割近くをすでに買い占め、価格が上昇(利回りは低下)しやすくなっているからです。日銀は金融緩和の効果を維持するために国債購入を増やす方針を示しており、ゆがみの解消には時間がかかりそうです。

(前田尚歩)