日銀が19~20日に開いた金融政策決定会合で金融緩和の縮小を決めたことを受けて、2023年1月以降の住宅ローン金利には上昇圧力が強まりそうだ。固定金利が指標とする長期金利の変動許容幅が0.25%程度から0.5%に拡大するためだ。一方、短期政策金利に連動する変動金利は今回は影響を受けなさそうだ。
住宅ローンの固定金利は米国の利上げのあおりですでに上昇傾向にあった。大手行の12月適用分の10年固定金利は、1年前の12月と比べると0.1~0.4%ほど高い水準だ。各社は月末にかけて翌月の固定金利を決めるため「1月の固定金利も上げざるを得ないだろう」(大手行担当者)との見方が大勢だ。
ただ、上昇幅は抑制的との見方もある。住宅ローン比較サイト「モゲチェック」を運営するMFSの塩沢崇取締役は「固定金利は全体的に上がる方向性ではあるが、市場はすでに実質的に(10年国債利回りを)0.4~0.5%くらいまで織り込んでいたとの見方もあり、急に大幅に上がるかどうかは疑問だ」との認識を示した。
変動金利が指標とする政策金利は長年変わっていない。利用者の大半が選ぶ変動型は金利の引き下げ競争が激しく、10年固定が1%台のところ例えばみずほ銀行はメガバンク最低水準の0.375%で提供している。今回の長期金利の実質利上げで短期的には固定型と変動型の金利差が拡大しそうだが、今後の金融政策でマイナス金利政策にもメスが入るかどうかが焦点になる。
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