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スマサポ小田社長「入居者対応、アプリで効率化」

小田慎三社長に事業の強みや今後の成長戦略を聞いた。

――事業内容を教えて下さい。

「賃貸物件の新規入居者向けのコールセンターサービス「スマサポサンキューコール」で事業を拡大し、現在は入居者アプリ「totono」を主力にしている。totonoは9月末時点で不動産管理会社など72社で採用され、入居者からは6万1000ダウンロードの実績がある。コールセンターサービスは870社と契約し、年間24万世帯とやり取りしている」

――強みは何でしょうか。

「不動産管理業者の新規事業からスピンアウトして創業した経緯から、不動産管理事業への理解力も高く、業界の共通課題に精通している。一方で、社長含め他業種の経験者も多く、業界の常識から一歩引いてサービスを提案できる。2012年に独立後、社内でエンジニアを積極採用しており、開発能力を持っている」

――不動産管理の支援サービスの需要はありますか。

「新型コロナウイルスの影響で対面での入居者対応が難しくなったことで、電話やアプリでの対応が増えている。totonoの契約企業数は年間30~50社の水準で増えている」

「不動産管理業者はこれまでは物件オーナー重視で、入居者対応に消極的だった。ただ、外部経験者の目で見ると入居者対応からは多くのデータが得られ、ビジネスチャンスだ」

――上場の目的と調達資金の用途は。

「個人情報を扱う企業なので、まず信頼・信用確保が目的でもある。totonoを中心とした入居者向けのサービス拡充に努める。既にレンタル家具やカーシェアなどの申し込みを始めた。例えば、アプリ上で駐輪場のステッカーを申し込んだ入居者に、損害保険会社の自転車保険を案内するサービスなどを実現したい。サービス拡充に向けた開発費と、ビジネスに応じてくれるパートナーへの営業強化に充てる」

――株主還元についてどのように考えますか。

「なるべく早期を検討するが、当社は現時点では成長フェーズにあるため、まずは事業拡大に投資する。バランスを見つつ、一定の営業利益率などの達成を優先する」

(聞き手は田村修吾)