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26歳に聞いた、Z世代の意識が高い理由(佐々木明子) テレビ東京アナウンサー・佐々木明子のニュースな日々

ざっくり分類すると私は「バブル世代」と称されるが、最近よく耳にするのが「Z世代」。1990年代後半から2010年生まれの若者たちのことだ。番組の金曜日の後半は、Z世代にターゲットを絞ったトークコーナーを展開している。このZ世代、知れば知るほど興味深い。特に、その消費行動は我々の世代と全く違うのだ。

20代だったあの頃は、ルイ・ヴィトンにグッチ、エルメスなど高級ブランドのバッグを持つのがいわばステータスで、『JJ』や『CanCam』といったファッション誌がお手本。アイドルのスタイルに購買意欲が刺激され、誰も彼もが同じファッション、同じ髪形をして、定期的に一大ブームが起きて時代を彩った。

一方で、デジタルネーティブ世代の情報源はSNS(交流サイト)など。マス狙いの宣伝や広告には動かされず、ネットの評価や知り合いの「いいね」を見て判断するという。

では、Z世代を分析してみよう。まず、「メリハリ消費」。節約する一方で自分が価値を感じるものにはお金と時間を徹底的に使う。「失敗したくないという思いが強い」のも特徴だ。服を買うにしても、ネットで事前に調べ、来店して試着もする。

そこでもまだ買わず、似たデザインでより安いものがないかを探し、ブランドのストーリーなども徹底的に調べ上げて、納得してからようやく購入する。

いやはや、大変な手間だ。私たちの世代によくある衝動買いや、買った後で後悔するといったことは彼らにはない。

「服を売らないアパレル」の起業家

何といっても環境や社会問題への意識が高い。企業も、製造過程の透明化や人的投資などの情報開示を迫られ、金融業界でもESG(環境・社会・企業統治)関連のニュースが百花繚乱。インパクト投資などのマネーの動きも強まっている。CO2排出量削減の数値を開示するアパレルも出てきた。

コーナーのゲストに来た26歳の起業家に話を聞いた。彼女は「服を売らないアパレル」を展開して注目されている。不要な服を3着持って行くと、好きな古着を3着持って帰ることができ、店舗の入場料が収入源という、まさに循環型のサービスを始めた。

「私たちの世代は、世界中の情報に瞬時にアクセスできます。だから、悲惨な貧困や切迫した環境問題の現実を目の当たりにして、自分ごとにできるんだと思います」。圧巻の回答だった。私たちの世代よりはるかに情報が多い。膨大な情報を自分なりに選択・整理し、熟考する、想像以上にたくましい姿がそこにあった。

最近のMy News「アナログな手続きに困惑」

とある証書の手続きをする必要があり、区役所に行った。説明を受けるのに2時間。仕組みが複雑、かつ内容も難解。該当のサービスを受けるには、紙の証明書2枚が毎回必要とのこと。ペラペラの紙は、持ち歩けばすぐに破けます。マイナンバーの生体認証導入、早くしてほしいとしみじみ。

「佐々木明子のニュースな日々」は、国内外の経済やマーケットの動きを伝えるテレビ東京「WBS(ワールドビジネスサテライト)」のメインキャスターを務める佐々木明子さんが、金融・経済の最前線の動きや番組制作の裏話などをつづるコラムです。