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テスラ「仮想発電所」を拡大 太陽光・蓄電池、一括で制御 電力需給調整を効率化

米西部カリフォルニア州や日本などに続き、米南部テキサス州でも加入者の募集を始めた。VPPは電力需給を最適化する手法として注目を集めており、家庭用蓄電池の販売増につなげる。テスラは「分散型の電力会社」になる構想も掲げている。

 

VPPの事業者は小型の太陽光発電と蓄電池を設置した家庭を束ねて運営し、電力の需給を調整する。太陽光パネルを設置した家庭の電力が余っているときに蓄電したり、送電網に供給したりして、事実上の発電所のような役割を果たす。

テスラは15日付のツイッター公式アカウントへの投稿で、テキサス州の一部地域で招待制でVPPへの参加者の募集を始めたと明らかにした。

「テスラエレクトリック」と名付けた電力サービスは、テスラの家庭用蓄電池「パワーウォール」の利用者が対象となる。蓄電池側が地域内の電力価格をリアルタイムで追跡し、安価な時間帯に電気をためることでコストを抑えられるという。

 

家庭用の太陽光パネルと組み合わせれば、電力価格が高い時間帯に余剰電力を売ることもできる。テスラはVPPの加入者に消費電力がすべて再生可能エネルギー由来で温暖化ガスを排出しないと約束している。

テスラはカリフォルニア州では地元の電力大手と5000世帯超が参加する最大級のVPPを手掛ける。日本では沖縄県内の電力システム開発会社と組み、宮古島市で300台を超えるパワーウォールを使った商用のVPPを運営している。

米連邦エネルギー規制委員会(FERC)は2020年、分散型電源を送電網に接続しやすくするよう各地域の送配電網の運用機関に指示した。VPPの事業化を模索する動きが電力業界で加速する契機になった。

家庭用蓄電池や太陽光パネルの分野でテスラと競合する米サンランは22年、電力需給が逼迫する夏場に米北東部の卸売市場でVPPを運営し、約5000カ所の太陽光パネルと蓄電池を束ねて電力需給を調整した。複数の州にまたがる大がかりなVPPは米国で初めてという。

VPPを巡っては、事業者が送電網の整備にかかる費用をどう負担するかも焦点となっている。送配電網は電力大手が所有し、利用者は送配電網の使用料にあたる「託送料金」を払う。FERCは20年の指令で分散型電源のための託送料金の策定を求めた。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は同社を「巨大な分散型電力会社として運営する」との目標も掲げる。現在テスラのVPPは家庭用蓄電池の所有者らが対象だが、将来的には大容量バッテリーを搭載するテスラ製電気自動車(EV)を電力ネットワークに取り込む可能性もある。

もっとも、半導体不足などの影響でテスラの家庭用蓄電池の生産と販売は足元では伸び悩んでいる。太陽光パネルを含むエネルギー部門の2022年7~9月期の売上高は11億1700万ドル(約1500億円)と、テスラの全体の売上高の5%にとどまっている。

(シリコンバレー=白石武志、ヒューストン=花房良祐)