· 

HIS、最終赤字95億円 前期、エネ子会社売却で特損

収益源だったテーマパーク「ハウステンボス」を売却して特別利益を計上した。一方で不振のエネルギー関連子会社を売却する構造改革も急ぎ、特別損失が増えた。3期連続の赤字となった。

 

前期は9月末にハウステンボスの運営会社を売却して408億円の売却益を計上した。その上で赤字が続いていたエネルギー関連子会社のH.I.S.SUPER電力やHTBエナジーの全株式を譲渡し、売却損など特別損失を計上した。15日、オンラインで会見した矢田素史社長は「22年10月期でうみは出し切った」との認識を示した。

売上高は1427億円だった。前期から「収益認識に関する会計基準」を適用しており、旧基準では前の期比2.2倍の2603億円。外出制限の全面解除や水際対策の緩和で主に旅行事業が増収をけん引した。

HISは3期連続の赤字となった

22年8~10月期の業績をみると、同社の旅行事業の売上高は772億円とコロナ禍前の19年同期の4割弱の水準にとどまるが、国内旅行に限ると、8割強まで回復した。

22年10月期の営業損益は479億円の赤字(同640億円の赤字)と赤字幅が縮小した。部門別にみると、ハウステンボスなどテーマパーク事業が唯一営業黒字を確保した。旅行事業は改善した。

今期の業績見通しについて示していないが、海外旅行で19年10月期の半分の水準、国内旅行は同7割増を見込んでいる。取り込みが遅れていたシニア層や家族客に向けてクルーズツアーも再開する。沢田秀雄会長は「全社一丸となって黒字化をめざす」と語った。復調してきた国内旅行を黒字化の軸に据える。ただ、今期は虎の子だったハウステンボスに頼れない。コロナ前に主力だった海外旅行は燃油高や円安、ウクライナ情勢が響く。本業回復の不透明感は根強い。

財務基盤の改善も依然課題だ。10月末時点で銀行団から345億円のシンジケートローン(協調融資)を受けている。協調融資の財務制限条項は2期連続の経常赤字にならず、純資産が前期比75%以上の水準維持という2条件がある。純資産の水準は達成しているが、経常赤字は3期連続だ。矢田社長は「建設的に協議しており、今後も支援が受けられる」と話した。

自己資本比率も11%と7月末時点(5%)と比べると持ち直したものの、コロナ前の16%前後の水準までは至っていない。既に多数の不動産を売却したほか子会社も整理。財務基盤の改善に向けた選択肢は本業立て直し以外に少なくなっている。

収益回復の要に据える国内旅行は同業他社やネット大手が市場開拓で先行している。23年も継続が決まった政府の全国旅行支援などの追い風を短期的には受けるが、海外ツアーと比べると利益率は低く、需要が冷える可能性もある。24年2月には150億円の社債の償還期限を迎える。業績の立て直しは急務になっている。