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都、「太陽光」義務化の条例可決 円滑施行へ事業者支援 戸建て住宅は全国初 費用負担増 懸念も

2025年度から大手住宅メーカーなどが義務を負う。30年までに温暖化ガス排出量を半減させる「カーボンハーフ」実現への弾みとする。円滑な施行に向け、都は事業者への支援などを加速する。費用負担への懸念払拭など都民の理解促進も欠かせない。

 

比較的大規模な建物に太陽光パネルの設置を義務付ける例はこれまでも京都市や群馬県であったが、戸建て住宅に対する義務化は全国で初めて。

都の義務化の対象は都内に供給する年間の延べ床面積が2万平方メートル以上の住宅会社などで、50社程度が対象になるとみられる。日照条件などを考慮した上で事業者ごとにノルマを定め、達成を求める。

業界の中には、環境性能を高めるために太陽光パネルの設置を基本としている住宅会社が既にある一方で、設置実績に乏しい会社も多いのが現状だ。太陽光パネルを搭載した住宅を新たに売り出していくためには、パネルの調達ルートの確保や施工技術の習得、販売手法の構築などが必要になる。

都はこうした事業者に対する支援策などとして、15日に成立した補正予算に300億円規模の事業費を盛り込んだ。柱の一つは、住宅の商品開発に必要な費用に対する1億円を上限とした助成金だ。都の担当者は「環境性能の高い住宅のラインアップが増えれば都民も選びやすくなる」と消費者側のメリットも強調する。

懸念の一つは太陽光設備の設置や維持管理にかかる費用だ。

都の試算では、一般住宅に4キロワットのパネルを設置する場合の初期費用は98万円程度。月々7800円分の節電効果や売電収入があり、都の補助制度を使えば6年程度で回収できる。パネルで発電した電力を家庭用に変換するパワーコンディショナーの交換費用23万円を含めても、30年間では「最大119万円のメリットが得られる」という。

ただ、足元では物価高の影響もあり家計は圧迫されていて、住宅購入者にとって価格の上昇は無視できない。建売住宅を取り扱う都内のハウスメーカーは「パネルを設置できる屋根の面積が小さい場合は特に太陽光発電のメリットは評価されにくい」と指摘する。

都は購入者の負担軽減が必要と判断し、パネルのリースなどで初期費用をゼロにする事業者に対して、新たな助成制度を設ける方針だ。パネル利用料の減額を通じて、住宅購入者の負担感を和らげることを狙う。

都議会での条例改正案の採決では、最大会派の自民党が「都民の間に理解が浸透し、納得してもらえている状況にない」などとして反対した。実際、5月からの1カ月間に都が実施したパブリックコメントでは、賛成意見が56%と過半数を占めた一方で、反対意見も41%に達した。

国内では前例がないだけに、都民や事業者への丁寧な説明が都には求められる。都は新制度の仕組みや太陽光のメリット、支援策などの情報をワンストップで提供する相談窓口を年明けにも設置する方針を示している。新制度の円滑な施行に向けては積極的な情報発信も必要となる。

さらに、大量廃棄が見込まれるパネルをリサイクルする仕組みをどう構築するかなど、解決すべき課題は多い。制度開始までの2年余りの間に、いかに都民の理解を深め、事業者の環境対応を支えるか、実効性のある施策展開が求められている。