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「ココイチ」客足低調 年2回の値上げでも補えず 名古屋支社 谷天晴

「ココイチ」の愛称で知られる「カレーハウスCoCo壱番屋」が12月1日、今年2回目の値上げに踏み切った。運営会社の壱番屋は原材料や輸送費の高騰を受け客単価の上昇を図るが、新型コロナウイルス禍で減少した客数が戻っていない。2023年2月期の連結営業利益は30億円と、過去最高だった20年2月期の6割にとどまる見込みだ。コロナ禍の影響を抜け出す外食チェーンもある中で、試練を迎えている。

ココイチは1978年に愛知県内で1号店を開業、40年強で国内1200店規模にいたった。調査会社の富士経済によると22年の国内カレー店の数は約1650店。ココイチはおよそ7割を占める。全体の9割がフランチャイズチェーン(FC)店だ。来店客が好みで量や辛さ、具材を選べる商品力が人気のカギ。創業家が退いてハウス食品グループ本社が15年に株式の過半を握っている。

株価は20年1月に上場来高値の6130円を付けたが、新型コロナウイルス禍に直面して業績の伸びとともに上値を抑えられた。直営店が中心の外食チェーンより業績の落ち込みが小さく、かねて持ち帰りにも力を入れていたため一時「巣ごもり需要」と意識された場面もあったが、15日の終値は4590円にとどまる。

理由の1つがCoCo壱番屋の国内での飽和だ。10月末で1222店と1年前より16店減った。FCの比率が高い日本マクドナルドホールディングスモスフードサービスが店舗を増やしてコロナ禍前の売上高水準を回復しているのに比べると、壱番屋の遅れが目立つ。

さらに深刻なのが、既存店の客数の回復遅れだ。持ち帰りや宅配を含めて18年の各月を100とすると、22年4月以降も80台半ばが続く。22年は6月と12月にカレーソースや具材を値上げした。あわせてカレーの具材を半分ずつ選べるようにしたり、サラダも量を減らして値下げしたりと、客に受け入れられるよう工夫も凝らした。

客単価こそ値上げの効果もあり上昇傾向が続くが、18年と比べると既存店売上高は1割近く減っており客足の落ち込みを補えていない。スパイスカレーといった期間限定のキャンペーンも集客の起爆剤にはいたっていない。

苦戦は自己資本利益率(ROE)にも表れている。いちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏は23年2月期を6.9%と、20年2月期に比べ4ポイント近く下がると見込んでいる。実績とあわせてROEを「売上高純利益率」、資産を有効活用して売り上げを出せているかを示す「総資産回転率」、負債の活用ぶりを示す「財務レバレッジ」に分解すると、利益率と資産効率の落ち込みがはっきりする。

売上高の6割強を占めるFC店向け商品の粗利率は、原材料高も相まって22年3~8月期に31.4%と、20年2月期の32.8%から下がった。総資産は店舗が減って少なくなったが、それ以上に売上高が落ち込んで資産効率が下がった。

活路はどこにあるのか。いちよしの鮫島氏は「新しい業態の店や、海外事業を積極化しなければ大幅な回復は難しい」と指摘する。

壱番屋は、愛知県を中心に名古屋名物あんかけパスタの「パスタ・デ・ココ」をチェーン展開しているが、30店舗ほどで横ばいが続く。20年には北海道のジンギスカン店を買収、22年10月には海外のココイチの人気メニューを「逆輸入」した店を都内に出店したが、大規模に店を増やす動きはまだない。

壱番屋は愛知、岐阜を中心にあんかけパスタ店を展開する

海外のCoCo壱番屋は約200店あり、ほとんどがアジアだ。最も多い50店強の中国ではコロナ禍の影響が続く。計画している中東やオーストラリアへの進出や、コロナ禍前の売り上げを回復した米国で店を増やすことが焦点になる。

壱番屋のキャッチコピーは「わくわくで未来をつくる」。イメージが固まった「ココイチ」のブランドを新たに作り替えるくらいの取り組みで顧客を魅了しない限り、投資家の評価にもつながらない。