· 

ふるさと納税、伸び率1位は? 22年度も増加基調 都道府県ランキング・ふるさと納税

2021年度の寄付額は2年続けて過去最高を更新し、全都道府県で増えた。22年度も前年を1~2割ほど上回るペースで推移しているとの声が多い。

 

21年度の全国の寄付受け入れ額は8302億円だった。都道府県別(都道府県と市区町村の合計)では北海道が1217億円と3年連続で最も多かった。海産物を中心とした返礼品の人気が続いた。20年度からの増加率をみると、京都が2倍近くと最も高かった。2位は85.5%の栃木で、福井、群馬、大阪が続いた。返礼品拡充など寄付を増やす取り組みが奏功した。

21年度に寄付受け入れ額を大幅に増やした自治体では、22年度も着実に伸ばしているところが目立つ。

21年度は62億円と3.5倍になった京都市は22年度も「前年度よりは多くなる」(市担当者)見通しだ。「12月の動向が最終実績に大きく影響する」(同)が、市内への旅行クーポンや老舗料亭のおせちの返礼品人気が堅調という。

同市は市民の他自治体への寄付で生じる税収流出を補うため返礼品を強化している。現在の返礼品数は約2800品目と21年度から3~4割増やした。

栃木県佐野市の寄付受け入れ額は21年度に13.4倍に急増した。21年途中に返礼品に加えたボックスティッシュが注目され、物価高騰を背景に22年度の寄付受け入れ額も前年度の2.5倍のペースという。メルマガでの観光情報の発信や寄付者への細やかな対応に取り組む福井県敦賀市は1割増を見込む。

寄付仲介サイトを運営する複数の事業者は22年度の全国の寄付額を前年度比1~2割増の9000億円台と予想している。21年度の寄付受け入れ額が2位だった宮崎県都城市は2割伸ばしているほか、首位だった北海道紋別市は前年度並みの150億円と想定している。

一方で、寄付受け入れ額を増やす自治体と苦戦する自治体で二極化しているとの指摘もある。自治体支援のシフトプラス(大阪市)の中尾裕也社長は「広告や商品の作り方で上位自治体は力の入れ方が違う。それが結果に出ているのでは」とみる。

税収流出が続く都市部も近年は寄付獲得に本腰を入れ始めている。ふるさと納税への取り組みが積極的でない自治体への寄付が分散している可能性もある。名古屋市は21年半ばから返礼品を増やし、現在は約1600品目をそろえる。市内企業の高級シャワーヘッドなどが人気で、寄付受け入れ額は前年度の2倍以上の勢いという。

19年の地方税法改正で返礼品にできる地場産品の基準が明確化され、同市は「ふるさと納税で市内の事業者を支援する」と積極姿勢に転じた。

横浜市もホテルの宿泊券や中華総菜など返礼品を強化している。ふるさと納税による同市の税収流出額は全国で最も多い。同市は「流出分を取り戻すというよりは他の地域住民に市をアピールしていきたい」と説明する。

(地方財政エディター 杉本耕太郎)