地中に埋め込み、外部からの衝撃を最小限にとどめるようにした。核シェルター部分の価格は内部工事費や設置費用を含めて2000万~3000万円。建築する住宅の3割で採用を促していく。
輸入住宅の建設や防災シェルターを手がけるアンカーハウジング(川崎市)が開発した。HOPは建物の構造に合わせ、住宅とつながる階段部分やシェルター内部を設計・施工する。

シェルターを囲む壁は鋼板を採用し、100年以上耐久できるようにしたという。塗装でさびの発生を抑え、船舶の溶接技術で密閉性を高めた。地下4メートル以上掘ってシェルターを設置し、土を2メートル程度かぶせて外部からの衝撃を和らげる。シェルターの広さは約10平方メートル。シェルター同士を連結することもできる。

放射能を除去しながら、外気とシェルター内の空気を入れ替える換気設備や井戸から水を供給する装置を備える。ソーラーパネルで電気供給し、衛星電話や冷暖房設備も取り付ける。シェルターに1カ月程度避難することを視野に、バイオトイレも備える。
HOPは当初、海外製の輸入を検討していた。ただ、海外製は別棟で建設するタイプが多いといい、住宅から直接避難することが難しい。アンカーハウジングと組み、地下室型の核シェルターを実用化した。

HOPは建設費1億~2億円程度の高級注文住宅を中心に、年50棟前後を施工する。木材の加工から設計、工事まで一貫して請け負う。道産材を生かした住宅が特徴だ。
売り上げの7割近くを東京や大阪、名古屋での案件が占めている。北海道内ではスキーリゾートのニセコのコンドミニアムなどを受注している。2022年3月期の売上高は35億円。営業利益が1億5800万円だった。営業を始めた核シェルター付き住宅も道外での採用が中心になりそうだ。
地下に設置するため、外気の影響を受けにくい。シェルター内の温度を一定に保てる。緊急時以外にはワインセラーや食料保存庫、カラオケや楽器演奏といった使い方も可能だ。HOPの石出和博会長は「住宅にお金をかける富裕層にはシェルターの必要性を感じている人も多い」と語る。
北朝鮮が発射したとみられる大陸間弾道ミサイル(ICBM)が11月、北海道西側の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。HOPには数件の引き合いがあるといい、核シェルターに関心を持つ人も徐々に増えるとみている。
(久貝翔子)
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