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つみたてNISA、上限3倍の年120万円に 政府・与党、一般型は倍増 生涯投資枠1800万円

政府・与党は2024年に恒久化する少額投資非課税制度(NISA)の年間の投資枠をつみたて型について現行の3倍の120万円に、一般型を2倍の240万円に増やす方針を固めた。合計で年360万円の投資枠を設け、貯蓄から投資の流れを促す。相続・贈与制度も変更する。資産形成・移転のあり方を大きく見直す。

 

週内にもまとめる23年度与党税制改正大綱に盛り込む。

NISAには投資信託に限定したつみたて型と国内外の上場株にも投資できる一般型がある。新制度では一般型を「成長投資枠(仮称)」に衣替えする。生涯の投資上限を1800万円とし、うち成長投資枠を1200万円とする。政府・与党内での議論を踏まえて最終的に決定する。

NISAは配当金や分配金に税金がかからない非課税の投資期間が無期限になる。富裕層に恩恵が偏るのを防ぐため生涯投資枠を設ける。

24年以降は現行制度とは分離して管理し、NISA利用経験がある人も新制度の投資枠を満額使える。成長投資枠とつみたて型の併用も認める。現在は同じ年に両方を利用することはできない。

個人投資家のスタートアップ支援を促す税制措置をつくる方針も固めた。政府は投資家が株式の売買で得た利益をスタートアップに再投資した場合、20億円までは売却益に課税しない案で、与党税制調査会と調整する。税優遇で投資家の資金を新たな起業につなげる。

個人投資家がスタートアップに出資した際に税優遇を受けられる「エンジェル税制」を見直す。

相続・贈与税制は、生きている間に子や孫に財産を移す生前贈与のうち、相続財産に加えて相続税の対象とする期間を現行の死亡前3年から7年へと延長する方向だ。若い世代が結婚や子育てなどで資金を必要としているときに円滑に資産が移りやすいようにする。

生前贈与には毎年課税する暦年課税と相続時にまとめて課税する精算課税がある。現行の暦年課税は死亡前の3年間に贈与した分は遡って相続財産に加算している。

遡る期間を7年に延長し、延長した4年間の贈与は総額100万円まで相続財産に加算しない。

精算課税は適用を受けるにはまず税務署に届け出る。数万円などの少額でも贈与を受ければ申告する必要が生じ、利用が低迷していた。年110万円まで申告不要にし、非課税にすることで制度の使い勝手を高める。