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外貨定期預金、高金利競う 新生銀・SMBC信託、4~5%に 資産分散で残高大幅増

外貨定期預金で金利引き上げ競争が起きている。新生銀行やSMBC信託銀行のドル定期預金金利は4~5%と過去最高水準に上昇した。足元では円安が一服し、外貨の普通預金は利益確定の外貨売りが相次ぐが、定期預金は高金利や資産分散を目的に資金が集まる。定期と普通での個人の動きの違いは資産分散への意識の高まりを映している。

 

外貨預金には大きく普通預金と定期預金がある。普通預金は外国為替証拠金取引(FX)ほどの短期売買ではないが、基本的にいつでも売り買いできるため、為替差益を目的に比較的短期に売買する利用者も多い。一方、定期預金は原則一定期間引き出せない代わりに金利水準が高く、貯蓄や資産分散を目的に利用される場合が多い。

「プレスティア」のブランドで個人向け外貨サービスを手掛ける三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下のSMBC信託は11月、取引の多い1年物のドル定期預金金利を4.5%と半年前の4倍超に引き上げた。外貨定期預金全体の残高は11月末時点で18億ドル(約2500億円)近くに達し、半年前に比べて2倍以上になった。

金利の高さと残高の大きさは、少なくともシティバンク銀行のリテール事業を統合して現在のSMBC信託が誕生した2015年以降で最高だ。

定期預金が増加する流れは他行でも同様だ。新生銀では11月の外貨定期預金残高が半年前から66%増えた。1年物ドル定期預金金利を11月に4.0%まで引き上げた影響が大きい。12月に入ってからは5.0%と2000年の同行発足以来、最高水準まで引き上げた。

各行の外貨定期預金の金利引き上げは、米連邦準備理事会(FRB)の急激な利上げが背景にある。米政策金利は現在3.75~4.00%と年初(0.00~0.25%)から大きく上昇。マイナス金利政策を続ける日本とは対照的だ。

日銀の統計によると、個人の外貨預金残高の合計は9月時点で5兆8000億円。半年前に比べると5%減少している。今年春以降の急速な円安進行を受けてドルなどの外貨が割高となり、普通預金で預けていた外貨を円に戻し、差益を得る動きが活発化したためだ。一方で「外貨定期預金に限れば個人の行動は真逆で、預金残高は大幅に増えている」(大手行)。

インターネット専業銀行も金利引き上げで顧客獲得を急ぐ。11月にソニー銀行と大和ネクスト銀行は1年物のドル定期預金金利を3.8%に引き上げた。ソニー銀行では11月単月の外貨定期預金の新規預入額が2月比3倍になったという。12月には4.0%に引き上げた。大和ネクスト銀行でも定期預金残高が増えている。

外国為替市場では、年初に115円台だった円相場は10月に一時151円台まで下落した後に反転。足元では137円前後まで戻した。外貨普通預金では利益確定の外貨売りが出ているが、外貨定期預金では個人にとっては買い場に映る。資産分散の観点からドル資産への選好は根強く、「ドルの割安感から足元で購入が増えている」(ソニー銀行)。

各行は資産分散への関心の高まりを顧客獲得の好機と捉えている。新生銀行では11月、新規で外貨取引を始めた顧客の数が前年同月比3.8倍に増加した。月間の延べ取引人数も、5割近く増えている。各行は円預金から外貨定期預金に移した場合の金利優遇などのキャンペーンも相次ぎ打ち出して顧客を奪い合っている。

SMBC信託銀行など、グループの預貸ビジネスの中で外貨の調達機能の一部を担う銀行にとって、個人の外貨への関心の高まりはチャンスでもある。米利上げでドルの調達コストが上昇する中、外貨預金の獲得競争は当面続きそうだ。

もっとも、為替相場はいつ急変してもおかしくない。長期投資であっても、円相場がかつてのような大幅な円高局面になれば、外貨資産は大きく目減りする。為替リスクの点検と管理が欠かせない。

(北川開)