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リスキリング 実際どうすれば 3年後の展望を言語化 法政大学教授 田中研之輔氏

「リスキリング(学び直し)」という言葉を聞くようになった。政府も5年間で1兆円を投じるというが、社会人は何をどう学べばいいのだろう。キャリア開発を専門とする法政大学の田中研之輔教授と社内に組織を設けて取り組むサイバーエージェントの長瀬慶重専務執行役員に注意点を聞いた。

 

――リスキリングの重要性が高まっています。

「変化が激しい現代では危機感を持って自分の市場価値を高めなければならない。スキルのアップデート(更新)は欠かせない。キャリアを組織に委ねるのではなく、当事者意識を強く持って自分で責任を持つことが重要になる」

「同じ業務を同じメンバーとやり続けていたら、できる仕事は増えない。40代や50代は主体的に動かないと能力は上がらない。『このままでいいのか』とモヤモヤを感じたら、それはキャリアの停滞状態にある」

――どうすれば停滞状態から抜け出せますか。

「今後どんな社会になるか予測し、自分の強みや経験を最大限生かす働き方を考え抜く。これまでに培ったスキルを把握し、3年後にどうありたいか、2週間に1度書き出して言語化してみるとよい。キャリア形成は会社の経営戦略を描くのと全く同じだ。目標達成に何が不足しているか明確にし、それを埋めていく手段がリスキリングだ」

「組織の外に出て人的ネットワークを広げるのもリスキリングだ。私自身も経営者育成プログラムに参加して大きな刺激を受けた」

――学び直しを続けるコツはありますか。

「社会人学生と接していて、何を学べばいいかわからないという人は多い。ただ自ら学ぶ過程をデザインできている人は成功する」

「能力開発の本質は趣味にある。多くの人はマラソンやゴルフ、ヨガなど何か趣味があるだろう。自分のプレーを動画で撮影したり、徹底的に分析したりするのは上達したいから。その思考方法をビジネスにも活用すればいい。人は何歳になっても成長できる」

「社員が別の会社と行き来できる、レンタル移籍のような仕組みがあれば面白い。社内で部署の垣根を越えて働けるのもよい。挑戦してみてほしい。学ぶ人を国も助成金などで積極的に支援する必要がある」

 

たなか・けんのすけ 1976年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科で学び、社会学博士。2018年から現職。多くの企業の社外顧問なども務める。