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能力より考え方の違いが差に オーマイグラス社長 清川忠康

社員が仕事ができるかできないか、成長するかしないかは、能力の差ではなく、マインドセットや考え方の違いからくる、ということを日々会社を経営しながら感じている。だから社員に対しても、スキルを教えるよりも、考え方が大事だと口を酸っぱくして言っているし、考え方を共有するようにしている。

私も10年ほど前に米国で経営学修士(MBA)の教育を受けたことがあるが、今でも覚えていて仕事の役に立っているのは、マインドセットやリーダーシップといった授業の内容が多かったりする。

同じ事柄が起きても、考え方の違いによって大きな差が生まれる。例えば「自責思考」と「他責思考」の違いだ。何か起こった時に人のせいにするか、それとも自分も悪いところがあったと考え、次からは行動を改めようと自分で改善できる能力があるかどうか。

「上司がいけてない」ときに愚痴をこぼすか、それとも自分の能力をアピールするチャンスと捉えることができるか。私も以前、会社勤めをしていた際、上司が放任主義で完全に放置された状態のときもあったが、今振り返ると、成長する機会になった。きめ細かくケアしてくれる面倒見の良い上司の下で働くことは心地よいが、往々にして成長しなかったりする。

その人の考え方が「与党的」か「野党的」かはしゃべりっぷりから分かる。周りを否定するだけでなく、自分に何かすることはできないか、自分が代わりにやらせてもらえるチャンスはないかと考えられるか。

「会社の飲み会」を面倒だと思ってしまうか、それとも仕事を円滑に進めるために、同僚や上司、部下と打ち解けるチャンスと捉えることができるか。飲みニケーションを会社のお金でできると前向きに捉えることができるか。

このように同じことに対しても考え方の違いで大きな差が生まれる一方、能力の差はなかったりする。社員を採用する側としては、短期的には確かに能力の高い人間を採用すれば即戦力になる。だが、中長期的に成長するのは、会社の価値観に合った考え方をする人材ではないか。能力よりも、価値観に合った考え方をしているかどうかが極めて重要になる。