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ブラックストーン、REIT解約を一部制限 請求相次ぎ 米住宅下落で投資熱低下

米大手投資ファンドのブラックストーンは1日、非上場の不動産投資信託(REIT)「BREIT」について、規約に基づいて解約を一部制限したと発表した。11月に投資家から解約請求があった金額のうち、解約に応じたのは4割にとどまった。かつて低金利下で投資マネーが殺到していた不動産投資は転機を迎えている。

2017年に運用を始めたBREITは約690億ドル(約9兆3200億円)の純資産総額を持ち、米国の住宅などで運用している。野村証券は22年にBREITを投資対象とする公募投信を日本で設定するなど、幅広い投資家のマネーを集めてきた。

投資家は毎月、または四半期ごとに解約請求ができるが、急な資金の引き揚げが保有資産の投げ売りを招かないようにするため、解約に一定のルールを設けている。具体的には月次で純資産総額の2%まで、四半期では5%までとする上限がある。

ブラックストーンが1日に公表した書簡によると、10月は純資産総額の2.7%相当の解約請求があり、特例として全額の解約を認めた。11月も請求が多く、月次の上限に相当する13億ドルのみを解約した。請求額に占める比率は43%だった。請求の多くはアジアの投資家だったという。

BREITの主な投資先である米国の住宅市場は曲がり角にある。S&Pコアロジック・ケース・シラー指数では、全米の住宅価格は7月から前月比で下落傾向をたどっている。米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めや建築コストの高騰が響いている。

発表を受けて1日の米株式市場でブラックストーンの株価は一時前日比10%下落した。ブラックストーンの運用資産全体の3分の1を不動産が占めている。急成長していたBREITに対する投資熱の低下によって、ブラックストーンの収益成長に対する懸念が浮上した。

もっとも、米不動産投資を巡っては悲観一色ではなく、米国在住の投資家の間では強気姿勢も根強い。個人投資家向け投資アドバイザーで、自らもBREITに投資しているニューヨーク州のマシューさんは「米最大級の不動産所有者であるブラックストーンはBREIT運用で実績をあげてきた。解約制限もまったく心配していない」と話す。自身の顧客への推奨も続けるという。