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メタバース投資ファンド 香港のブロックチェーンゲーム、最大2700億円規模目指す

共同創業者のヤット・シウ氏が都内で日本経済新聞の取材で明らかにした。ファンド「アニモカキャピタル」を設立し、投資家から資金を集める。2023年に最初の投資を実施したいとの考えを示した。

14年設立のアニモカブランズは、ブロックチェーン技術を使った次世代型インターネット「ウェブ3」の分野をけん引する企業の一つだ。代表的なメタバースの一つ「ザ・サンドボックス」の運営などで知られる。企業評価額は50億ドルを超す。

自社でも約380のウェブ3関連企業に出資。これまでは「ウェブ3業界のエコシステムを育てるため」で必ずしもリターンを追い求めるものではなかったと説明。ウェブ3業界が成熟してきたことを受け、ファンドを立ち上げて「リターンを最適化する」という。

日本市場に関し「政府が(成長戦略で)ウェブ3やメタバースを重要なものと位置づけていることはアドバンテージになる」とした。漫画、アニメ、ゲームなどの分野で日本企業と協業し、コンテンツの海外展開などに取り組む考えを示した。

メタバースなどで使われる暗号資産(仮想通貨)を巡っては交換業大手FTXトレーディングが破綻するなど業界に逆風が吹く。ただシウ氏は「毎日多くの人が、特にゲームで仮想通貨を使うようになっている。こうした人たちは投機的な仮想通貨参加者とは異なる」と述べ、仮想通貨の有用性は広がっていると主張した。

米交換業最大手バイナンスが立ち上げた「業界復興イニシアチブ」に1000万ドルを拠出することも明らかにした。「エコシステムを支援するためだ」と述べ、状況次第で追加拠出の可能性もあるとした。

(岩本健太郎)