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東京―有明まで全7駅 都臨海部に地下鉄新線 40年までに、羽田・TXと接続も

東京駅から東京ビッグサイト周辺に7駅を新設し、2040年までの開業を目指す。東京駅への延伸構想のあるつくばエクスプレス(TX)や羽田空港方面への接続も検討する。人口流入が続く臨海部の利便性を高める。

 

25日、小池百合子知事が記者会見して発表する。総事業費は5000億円前後と想定しており、6キロメートル強の区間に東京駅のほか新銀座、新築地、勝どき、晴海、豊洲市場、有明・東京ビッグサイトの各駅(いずれも仮称)を設ける。都は路線開設に必要な手続きを進め、運営主体や詳細な駅の位置なども詰める。

東京臨海部は東京五輪・パラリンピック大会の招致決定を契機に開発が加速した。高層のオフィスビルやタワーマンションなどが林立し通勤・通学人口が大きく増えた。また、新線計画の沿線地域では、旧選手村跡地に立つマンション群「晴海フラッグ」の入居開始や、旧築地市場の跡地開発なども予定されている。

一方、臨海部から都心などへのアクセスは都営大江戸線や東京メトロ有楽町線など一部の地下鉄と路線バスなどに限られており、混雑が常態化している。中央区が14~15年度にまとめた調査によると、沿線地域では30年に10年比で夜間人口が7万人、従業人口が10万人増える。インバウンド(訪日外国人)の受け入れ再開もあり、国内外から臨海部を訪れる観光客の増加も期待されている。

 

取材に応じる東京都の小池百合子知事(24日、都庁)

取材に応じる東京都の小池百合子知事(24日、都庁)

東京都は21年、臨海部の機能強化を目指す「東京ベイeSGプロジェクト」を始めた。台場や晴海、有明などで先端技術を積極的に導入したり、大規模MICE(国際会議や展示会など)施設を拡充したりする戦略で、外国人ビジネスパーソンの受け入れ拡大も目指している。

都内では住吉(江東区)から豊洲(同)をつなげる有楽町線延伸や白金高輪(港区)から品川(同)をつなげる南北線延伸なども30年代半ばを予定している。人口増加が予測される臨海部でも新線建設の需要は大きいと判断した。

小池氏は24日、記者団の取材に応じ「臨海部はこれからも発展する地域だ。まもなく概略のルートや駅を公表できる。この地域がさらに広がりを見せることに期待する」と述べた。

臨海地下鉄構想は14年に中央区が検討調査を始めた。国土交通省の交通政策審議会が21年にまとめた答申では、東京駅に延伸構想のあるTXへの接続も含めて検討するよう示していた。都は21年に事業計画検討会を設置。22年11月には中央区などが早期実現に向けた「都心・臨海地下鉄新線推進大会」を開催していた。